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サントス ドゥ カルティエ」が生まれた理由。それは20世紀初頭、まだ懐中時計が主流だった時代に遡る。飛行家アルベルト・サントス=デュモンの「飛行中に時間を確認できる時計がほしい」との要望から、ルイ・カルティエがインスパイアを受け、世界初の実用腕時計として完成した。そして、テクノロジーが進歩し、アイディアを形にするプロセスが容易になった現代。いずれも世界を舞台に活躍する、料理家・松嶋啓介とメディアアーティスト・後藤映則との対話から、インスピレーションをいかにして現実に落とし込んでいくか、進化がめまぐるしいテクノロジーといかに付き合っていくか、その術を学ぶ。(本記事ではダイジェスト版をお送りします。全文はこちらをご覧ください)
後藤映則(以下、後藤) 最初にネットでお写真を拝見したら、怖そうな方だと(笑)。でもネットの文章を読んだら、そんな印象は消え去り、熱い思いをもった情熱的な方なのだろうと思うようになりました。
松嶋啓介(以下、松嶋) よく言われるのですが、まったく怖くないですよ(笑)。僕も後藤さんの作品をいくつか見せてもらいました。こんなユニークな作品をつくられるんだ、なるほどなあと。
後藤 今日もひとつ持ってきたんです。これは3Dプリンターでつくったものなんですが、人が落ちて行く「時間」が閉じ込められていて、光を中に通すとそこから動きが2次元で出現します。時間は目に見えませんが、見えるようにして実体化できないだろうかと思ったんです。この中には時間が詰まっている。つまり、時間の彫刻のようなものです。
松嶋 もともと、どんな発想で作品をつくっているんですか。
後藤 僕は武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科を出ているのですが、なかなか自分が表現したいもの、つくりたいものがカタチにできず、悶々としていました。なにか焦りのようなものを感じていましたね……。そこで学科などを飛び越えて純粋に何が好きかを考えたところ、僕は動かないものより、映像でも虫でも、動いているもののほうが好きだと気づきました。
全文は「サントス ドゥ カルティエ」スペシャルサイトにて
(後藤氏の作品もご覧いただけます)
松嶋啓介◎「KEISUKE MATSUSHIMA」オーナーシェフ、実業家。20歳で渡仏。フランス各地で修業を重ねたのち、25歳でニースにレストランをオープン。3年後、外国人としては最年少でミシュラン一つ星を獲得する。現在はニースと東京・原宿に「KEISUKE MATSUSHIMA」を構えるほか、ニースでは「すしK」(2017年10月開業)など数店舗を手がける。2010年7月、フランス政府よりシェフとして初かつ最年少で「芸術文化勲章」を授与され、2016年12月には同政府より「農事功労章」を受勲。
後藤映則◎1984年岐阜県生まれ。アーティスト。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。先端のテクノロジーと古くから存在する手法やメディアを組み合わせて、目に見えない繋がりや関係性を捉えた作品を展開中。代表作に時間の彫刻「toki-」シリーズ。近年の主な展覧会にSXSW ART PROGRAM(アメリカ・2017年)、Ars Electronica Festival(オーストリア・2017年)やTHE ドラえもん展 TOKYO(東京・2018年)など。国立メディア博物館(イギリス)にて自作がパブリックコレクションされている。