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2018.05.14

テクノロジーによって、未来のクリエイティビティはどう変わるのか

創造的とはどういうことか。昨今のめまぐるしい技術革新は、人間の創造行為にどんな影響を及ぼすのだろうか。いずれもマルチな才能を発揮する、メディアクリエイターの水口哲也、情報学研究者のドミニク・チェン、コンテクストデザイナーの渡邉康太郎が、2つのテーマをもとに、談論風発を繰り広げた鼎談第2回をお届けする。
(本記事ではダイジェスト版をお送りします。全文はこちらをご覧ください)



枯れ木に花咲くを驚くより、生木に花咲くを驚け

水口哲也:クリエイティビティを定義すれば、「ゼロからイチをつくり上げること」に尽きると思います。

究極のクリエイティビティは、この世をつくった創造主に宿っています。英語圏では「クリエイター」という言葉を使うときは、結構慎重になりますね。創造主を指す言葉ですから、軽はずみには口にできないという雰囲気があります。

ドミニク・チェン:創造性とは何かを考える場合、土地ごとの気候風土、さらには宗教の違いによって考え方が異なるということですね。

確かに、砂漠地帯のパレスチナで生まれた一神教の神と、アジアの深い森の中で生まれた多神教の神は性格がまるで違います。水が乏しく、灼熱の暑さに苦しめられる砂漠では、その都度リーダーが下す判断が重要で、その後に従う集団の生死を分けてしまう。結果、自然に強いリーダーが生まれる。その姿に似せて神もつくられるわけです。

一方、生命に満ちあふれた森の中では切羽詰まった判断が不要で、地面に腰を下ろして瞑想にふける余裕もあります。砂漠の民が奉じる唯一神というよりは、多様な神々が生まれて当然でしょうね。だから、アジア的なクリエイティビティというものは、相互に依存しあう自律的なプロセスの関係性を指すのだと思います。

渡邉康太郎:クリエイティビティは、つくり手の技能と同じくらい、受け手の目線や態度が重要です。

江戸時代の思想家、三浦梅園の言葉に「枯れ木に花咲くを驚くより生木に花咲くを驚け」があります。枯れた木に花が咲いたら誰でも驚くでしょう。でもより驚くべきは、普段は当たり前のものとして見過ごしている、生きた木に花が咲くことのほうだ、というわけです。「当たり前の再発見」の目を持つ。このとき創造性は生木に宿っているのか、それとも木を見て感動する人間のほうにあるのか。私は両者の中間にあるのだと思います。

例えば読書という行為も同じで、素晴らしい本というのは著者の作品というきっかけに始まり、読み手の創造的な読解によって完成します。僕らはいつも対象物と自己との間で、創造性を巡る「綱引き」をしているのだと思います。

続きは「サントス ドゥ カルティエ」スペシャルサイトにて
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ドミニク・チェン◎早稲田大学文学学術院表象メディア論系准教授。NPOコモンスフィア理事。ディヴィデュアル共同創業者。著書に『電脳のレリギオ』(NTT出版)『謎床: 思考が発酵する編集術』(晶文社、共著)など。

渡邉康太郎◎コンテクストデザイナー、Takramマネージングパートナー。代表作にISSEY MIYAKEの手紙のギフト「FLORIOGRAPHY」他、国内外での展示など多数。著書に『ストーリー・ウィーヴィング』(ダイヤモンド社)など。

水口哲也◎メディアクリエイター。Enhance代表、EDGEof共同創業者。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科特任教授。2016年にリリースしたVRゲーム「Rez Infinite」は米国The Game AwardsでベストVR賞を受賞。

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