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PwCグループの最先端イノベーション施設「エクスペリエンスセンター」が、金融・経済の中心地、東京・大手町に誕生した。東京のビジネス街の景観からは想像もつかないクリエイティブな異空間は、訪問者を大いに刺激することだろう。この場をもって、PwCのエキスパートたちは、果たしてどのように問題を抱える企業のイノベーションを創出していくのか。

PwC Japanグループ代表とPwCあらた有限責任監査法人の代表執行役を務める木村浩一郎、テクノロジーコンサルティングを統括する松崎真樹、デジタル領域、および同施設のリーダーで元ミュージシャンという異色のプロフィールをもつ松永エリック・匡史のキーマン3人に話を聞いた。


「エクスペリエンスセンター」はなぜ誕生しなくてはならなかったのか

木村浩一郎(以下、木村):以前PwCはアカウンティングファームと呼ばれていました。20年前にアナログからデジタルへの切り替えは静かに始まっていたのですが、これはあらゆるビジネスモデルの根幹を揺るがす衝撃的な変化であり、アカウンティングファームとしてお仕事をさせていただいてきたクライアントのニーズも大きく変化しました。

例えば金融のクライアントであれば、世界経済に与える影響の大きさからさまざまな規制を受けており、我々はその規制対応のための各種報告や内部統制の構築・運用のお手伝いをさせていただいてきましたが、いま金融業界は、新しいデジタルプレイヤーの参入を受けるなかで、これまでのビジネスモデルそのものの見直しを迫られています。

そうなると会計監査という業務においてさえも、企業価値をより多面的にとらえ、それを的確に表現すること、またその生成を担保する仕組みの検証という形に変化させる必要があります。

そんなときに必要なのは取り巻く環境や事業価値の本質を多角的に見ることができる視点です。そして、そこで大きな力を発揮するのが、PwCがこれまで蓄積してきた、アシュアランス(監査・保証および関連アドバイザリー)、タックス(税務)、リーガル(法務)、ディールズ(M&A、事業再生、インフラ)、コンサルティング(戦略立案からその遂行・実現までの総合的な支援)という各種専門家の総合力です。

PwCはもはや「アカウンティングファーム」ではなく、さまざまなビジネス領域に精通した「プロフェッショナル・ファーム」として企業を支援しています。テクノロジーの進化と社会の変革のスピードに対応するには、この総合力をさらに進化させ、クライアントにおける『イノベーション』を実現する場として、「エクスペリエンスセンター」を開設しました。

松崎真樹(以下、松崎):PwCを含めた世界中の企業は、グローバル化の流れに対応し、生き残っていくために、新しいテクノロジーを取り入れた全く新しいビジネスモデル、製品、サービス、その体制をつくっていけるかが問われるようになってしまった。その目的に向けて、PwC独自のメソッドを使い、クライアントを支援するためPwCはエクスペリエンスセンターを設立しました。




東京・大手町に開設されたPwCのエクスペリエンスセンター。Experience=Xを核にBusiness=BとTechnology=Tを融合させた、BXTを一貫したサービスとして提供する。

松永エリック・匡史(以下、松永):そうです。時代はもう、イノベーションを起こしていかないと生きていけないところまで来ています。

そこでエクスペリエンスセンターをオープンするために、デザイナー、クリエイター、最新技術のエンジニアなど“デザイン思考”で仕事をしてきたエキスパートが集められました。僕も、プロ・ミュージシャンでキャリアをスタートし、コンサルタントに転身してからもエンターテイメント・メディア業界で“デザイン思考”が当たり前の世界で働いていました。これまでのプロフェッショナルにカルチャーもプロトコルも違うエキスパートを融合させたのです。

木村:既存のプロフェッショナル・ファームの機能に、デザイン思考のエキスパートを融合させる。それは口で言うほど簡単なことではありません。共感(Empathize)問題定義(Define)創造(Ideate)プロトタイプ(Prototype)テスト(Test)といったデザイン思考のプロセスを、PwCが独自で開発した、カタリストメソッドによってリードしていきます。これを効果的に進めていくうえで、ビジネスの日常に非日常の空間を用意して、マインドセットそのものを変革する必要があったのです。これまでの椅子と机だけの会議室で、スーツを着て1時間のミーティングというのでは新しい発想は生まれにくいと考えました。

そもそもエクスペリエンスセンターは、ミーティング・研修施設ではありません。変革が必要なクライアントのために、PwCのプロフェッショナルの知識と経験に、クリエイティブ分野の才能とデザイン思考を加え、クライアントと一緒に、真のイノベーションを生む、顧客体験のための空間なのです。

松永:コンセプトは“Live JAM”。さまざまなビジネスパーソンとクリエイターが出会って生み出す火花こそがイノベーション。もちろんその中心には、その火をおこすために最適なタイミングを見計らうことのできるPwCのカタリストたちがいます。



キーワードはデジタル。単にテクノロジーだけを意味するものではない。デジタルとは自然と受け入れてきたものを覆し全く新しいものを生み出す発想力そのものです。アーティストが得意とする、0を1にする発想。先入観を捨て、非連続的な発想ができることがデジタルなのです。

これまでの綿密な調査と分析からは真の自由なイマジネーションは生まれない。既存の流れからは考えられない発想が、これからの課題解決には必要なのです。そのために最新技術に特化したスタートアップ企業や、クリエイティブ・エージェンシーと連携し、優れたクリエイティブな力をビジネスの現場に取り入れています。

木村:マイアミで最初のエクスペリエンスセンターが創られたのは、わずか2年前。

しかしビジネスシーンのデジタルトランスフォーメーションが加速している現代では、すでにたくさんのプロジェクトが世界各国のエクスペリエンスセンターから生まれています。“新しいプロジェクトを進めるなら、この場所でやっていくと成功率が高い”というのはエクスペリエンスセンターを利用したクライアントが一番多く口にするフレーズです。

松崎:PwCにとってエクスペリエンスセンターは、いわば“デジタルの聖地”なのです。

金融・経済の中心地、東京・大手町に生まれたビジネスのための異空間とは

松永:硬直化したビジネスパーソンの脳にインスピレーションの火花をおこすために生まれた非日常の空間がエクスペリエンスセンター。象徴的なのが、一番目立つ壁面に大きく飾られている書道作品です。

この作品は11月末に行われた「オープニングレセプション」で、書家の神郡宇敬氏と4人目のYMOメンバーとも呼ばれた作曲家・松武秀樹氏による書とシンセサイザーが共演するライブパフォーマンスで生まれた、まさに予想不可能なイノベーションを形にしたものと言えるでしょう。

人々はそれぞれがアーティストとしてこの異空間に足を踏み入れ、ライブでのセッションのように互いにさまざまな刺激を受け、何かをつくり出す。そしていままでの自分では考えられなかったようなビクトリーを得て、館内に敷かれたレッドカーペットの上を意気揚々と歩き去る、というストーリーでこの空間をデザインしています。そんな空間が、金融・経済の中心地の大手町にある。これが僕たちがこの空間に込めた熱い想いです。

松崎:もちろん企業が変革を遂げるためには、まずトップマネジメントが変わらなければなりません。そのためにトップマネジメントにより多くお越しいただけるように大手町で開設しました。PwCのカタリスト(まとめ役)がリードし、自由な発想のためにクリエイティブなタレントもアサインします。クライアントの課題解決を、環境、人材、PwC独自の手法によって実現できるのは、この大手町のエクスペリエンスセンターしかありません。

海の向こうのエクスペリエンスセンターはどのような場所なのか?

松崎:世界中に30か所在るエクスペリエンスセンターですが、各国それぞれが独自の空間づくりをしています。もちろんプログラムも各国で独自に決めています。

木村:マイアミのエクスペリエンスセンターはビーチにあり、クラブか、ポップアートミュージアムのような雰囲気です。フランクフルトは40階建ビルのトップフロアにあり、アミューズメントパークのように入り口を暗くして別世界へ踏み込むような演出をしている。上海のエクスペリエンスセンターは、フードコートの中にあるし、雰囲気がそれぞれまったく違います。



顧客企業のデジタルイノベーションとトランスフォーメーションの加速を支援する世界各地のエクスペリエンスセンター。写真はマイアミ(上)とフランクフルト(下)の拠点。

メルボルンでは4フロアあり、上に行くに従ってフォーマリティーが高くなる仕組み。常設されたレストランは、ライブキッチンになっていて、食事におけるカスタマジャーニーの体験とでも言える、さまざまな工夫がなされています。



メルボルン(写真上)と香港(下)のエクスペリエンスセンター。

松永:詰め込まれた会議室の空間で、斬新なイマジネーションが生まれるはずはないのです。

このエクスペリエンスセンターを通じて伝えたいのは、“常識や経験、既存のテクノロジーで理解したものはイノベーションなんかじゃない”ということ。また報酬を払ったのだから戦略を考えてほしいという考え方ではなく、一緒に考えなければイノベーションなんて到底無理なのです。PwCでは、この「一緒に考えていく」ための空間とプロフェッショナル・エキスパートとそのメソッドを用意することができます。そして、生まれたアイデアをそこで終わらせることなく、具現化していく過程でもクライアントに寄り添い支援していきます。

ただアイデアだけで具現化できないのなら、プロフェッショナルとは言えません。プロのミュージシャンはベーシックができてこそ、自由な音楽がつくれるのです。アートの世界も同様、知識の習得とトレーニングがあってこそのアートなのです。PwCのプロフェッショナルがもつさまざまな専門知識があり、その上で大いにクリエイトしようというのがこのエクスペリエンスセンターの思想の芯にあります。通常の流れでは、PwCのカタリストがクライアントとの綿密な準備を行い関連する専門スタッフ、及びクリエイティブ人材などを手配し、クライアントの課題解決に最適なプログラムを組みます。加えて、新しい発想を得るために、ジャンルの垣根を飛び越えたタレントを集めます。そしてカタリストセッションに臨みます。

松崎:テーマは、PwCがこれまでクライアントに提供してきた、すべてのサービス、すべての業界の領域に加え、クライアントを取り巻くさまざまな環境と課題にどのように対応していくかという点で幅広く、ひとつの例としては、働き方改革とRPA、AI活用、意志決定のためのBig Data活用、IoT機器のセキュリティなど、最新テクノロジーを活用したデジタルトランスフォーメーションの支援があります。

松永:もはや専門分野ごとの発想に囚われる時代は過ぎ去りました。0から1を生み出せるイノベーションが不可欠。そしてそれを生み出す最高の場がこのエクスペリエンスセンターなのです。

木村:エクスペリエンスセンターはPwCにおけるイノベーションの象徴であるとともに、実践の場です。我々はエクスペリエンスセンターでクライアントと共に、これまでにないイノベーティブなビジネス、ユニークな顧客体験の共創を行います。それと同時にここは我々PwC自身をディスラプトするための場でもあります。我々は、どのように社会の課題解決に対して支援していけるのかを絶えず問い続けていきます。



木村浩一郎◎PwC Japanグループ代表、PwCあらた有限責任監査法人代表執行役。米国基準および日本基準の財務諸表監査を多数手がけ、テクノロジー系、エンタテイメント系および海運系の企業を中心に担当。国際会計研究学会、監査国際シンポジウムなどでの講演も多数。著書に『アメリカの会計原則』(共著)。


松崎真樹◎PwCコンサルティング・テクノロジーコンサルティングリードパートナー。長年に渡り、幅広い分野のITコンサルティングを経験。現在は、テクノロジーコンサルティング全体のリーダーとして、デジタル、サイバーセキュリティ、アナリティックス、テクノロジーアドバイザリーサービス、ビジネスアプリケーションを統括。



松永エリック・匡史◎PwCコンサルティング・デジタルサービス日本統括パートナー。バークリー音学院出身のプロミュージシャンという異色の経歴をもちながら、放送から音楽、映画、ゲーム、広告、スマホまで、メディア戦略をリードするコンサルタントとして活躍。大手コンサルティングファームのアジア統括パートナーを経て、現職。

エクスペリエンスセンターは私たちの未来の世界を視覚化します

ボブ・モリッツ PwCグローバル チェアマン


ボブ・モリッツ PwCグローバル チェアマン

「イノベーションのプロセスを管理・運営する傍観者が欲しいんじゃない。一緒にクリエイトしてくれるパートナーが欲しいんだ」

「ポイントを整理・指摘するだけの人間はもう要らない。共にユニークな顧客体験自体をデザインしてくれる人が必要なんだ」

そんなクライアントの声が、世界初のエクスペリエンスセンターを生みました。いままでにないタレントを迅速に集め、それがマイアミに誕生したときは、PwC全体がワクワクしていたと思います。実際に新しい独自の手法を用いることで、あるデジタルビジネスの価値提案・モックアップ・ブランドムービー・ビジネスモデル・法規制の影響調査・投資計画、これら全てをわずか8週間でデザインした事例があります。従来の我々ではとても不可能なスピードでした。

つまりエクスペリエンスセンターは、PwCのイノベーションの象徴であり、従来の凝り固まったPwC自身を破壊する場でもありました。

日本にエクスペリエンスセンターをつくった理由は、日本のビジネスに“失敗を恐れずに新しい価値の創出にトライし続ける”気持ちが、不足していると感じたから。海外同様日本でもメンバーには、クライアントに先んじて新しい価値を創出し、クライアントに先んじて失敗することを求めます。なぜなら迅速な失敗からこそ、迅速な学びは得られるからです。

PwC Japan
https://www.pwc.com/jp/ja/

Promoted by PwC Japan text by Ryouich Shimizu photograph by Shuji Goto, Kiyosh Hirasawa edit by Akio Takashiro

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