ビジネス

2017.09.22

大企業にこそイノベーションを、パリ「Station F」から始まる新たな働き方

フランスのコワーキングスペース「Station F」

高い天窓からの日差しを受けて輝く、ホワイトキューブ状のワークスペース。フランスのコワーキングスペース「Station F」がまず目を惹くのは、あまりに近未来的なデザインだろう。

しかし日本人である我々が特に注目すべきは、その壮大な事業構想だ。「Station F」は4000人以上が働くコワーキングスペースとしての機能を持つ一方で、厳選されたスタートアップがマイクロソフトやフェイスブックとの提携のもと事業を推進するベンチャープラットフォームの役割を担っている。

日本でも近年、「働き方改革」が注目を集めている。国内のフリーランス人口が1000万人を突破、大企業が副業を容認するなど、日本のワークスタイルに転機が訪れているのは明らかだ。

とはいえ、それらはあくまで残業時間削減や場所を選ばない働き方といった「個人」の自由を目指している。パナソニックなどが立ち上げた「100BANCH」やYahoo!JAPANが自社オフィス内に開設した「LODGE」など、日本でも大企業主導のコワーキングスペースは少しずつ登場しているが、利用者のほとんどはフリーランスや起業家。大半の組織人にとって、コワーキングスペースはまだまだ遠い存在ではないだろうか。

真に目指すべきは個人の自由な働きを実現した先にある、新たなつながりやイノベーションの創造だろう。「Station F」ではマイクロソフトやフェイスブックによるバックアップだけでなく、若手起業家同士の積極的な意見交換がなされているという。大企業とスタートアップ、そして個人が相互に影響を与え合う世界のコワーキングスペースは、さらなる「働き方改革」のための大きなヒントになるはずだ。

海外の事例が必ずしも日本にそのまま当てはまるとは限らない。同質性や効率を重視する日本の企業風土は、異質を良しとするイノベーションと相性が悪いと言われる。

「人生100年」と言われる現代では、そもそも労働との付き合い方そのものを見直さなければならない。労働人口が減少する中で、従来の長時間労働・終身雇用を前提とした働き方がマッチしないというのは、今さらいうまでもないだろう。

「Station F」は単なる労働の場ではなく、同じ思いを持った人をつなぐ場としても機能している。いま、日本には新たな働き方の模索が求められている。そしてそれは必然的に、組織人と個人の分断を超えた、新たな人と人のつながり方の探求を意味するのではないだろうか。

Forbes JAPANでは、オフィス家具などの観点から労働空間を考え続けてきた岡村製作所とタッグを組み、9月27日に未来の働き方を模索する新たなビジネス誌『WORK MILL with Forbes JAPAN』を発刊。人事、マネジメント、システム、デザインなどの領域を超えたあらゆる視点から世界における働き方や日本各地の特徴的なワークプレイスを紹介する。

今回紹介した「Station F」を始めとした世界11都市の最先端コワーキングスペースや異業種間のコラボレーション、世界最大規模のコワーキングスペース「WeWork」日本法人のクリス・ヒルCEOへのスペシャルインタビューなど、未来のワークスタイルを模索する1冊となっている。


WORK MILL with Forbes JAPAN Vol.01

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発売日:2017年9月27日(水)
価格:980円(908円+税)
判型:B5変形 無線綴じ
ページ数:104ページ
発行元:アトミックスメディア(発行人:藤原 昭広)
発売元:プレジデント社
編集企画:岡村製作所(編集長:遅野井 宏)
販売方法:全国書店・インターネット
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編集=フォーブス ジャパン編集部

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