もはや“士業”をはじめとする専門家の縦割りが通用する時代ではない。その現実に気づき、果敢に組織の壁を越え横断的にビジネスを成功させるのが、鷹の目を持つPwC Japanグループの小山徹だ。鋭い眼差しで知性的な印象の小山徹。プロフェッショナル・ファームであるPwC Japanグループにおいて、その連携を包括的に担う彼の職種を一言で表すのは難しい。
「あえて言うなら流通に関するビジネス全般のプロフェッショナル業務。会計士、税理士、弁護士など、いわゆる士業と呼ばれる専門家が関わる業務から、システム構築やデジタル変革の領域まで、すべてが守備範囲です」
もちろん、実行を手がけるのはそれぞれの専門家だが、いつ、どのようなタイミングで何をすべきかということを常にボーダレスに眺めて助言するのは小山の役割だ。
「すべての業務に横串を刺す。組織が縦割り化され、それぞれが勝手な動きをしていたら、そこにはハーモニーはなく、ビジネスの成功は生まれません」
だから彼は積極的に組織の壁を越えてそれぞれのスペシャリストたちがうまく協働するように心を砕く。その姿はまるで、大人数のオーケストラで各演奏者に効率的な指示を与える指揮者のようでもある。
ではなぜ、彼はそんなことができるのだろうか。
「1990年代前半、当時は企業のコンピュータ化といえば、まだまだメインフレーム・オフコンの時代。そのなかで、私は顧客と打ち合わせを重ねるうちにSEであり営業でもあるような動きをするようになり、ファイザー製薬でのITマネジャーを経て、プライスウォーターハウスコンサルタントに転身したのです。その後もさまざまな経験を積みましたが、一貫して“ビジネスグロースのためにITをどう活用するか”に焦点をあて、医薬品・消費財・小売り・保険など数多くの業界で業務改革やシステム改善の陣頭指揮を執ってきました」
その実績が評価され、三越伊勢丹ではシステム構造改革を推進。先進的な事例としてさまざまなメディアにも取り上げられた。そして再びPwCの名の下に。
営業、SE、コンサルティング、CTO、CIO、会社経営を経験した彼だからこその視点、それが小山の千里眼だ。
「組織や会社の壁を越えて変化しないと。ビジネスとITの橋渡しをすることによって企業は成長し、価値は上がる。不透明な時代でも目を凝らせばきっとその先は見えるはずなんです」
小山 徹(こやま・とおる)◎日本IBM、ファイザー製薬を経てプライス・ウォーターハウスコンサルタントに転身。流通業界を中心に16年の実務経験を有す。三越伊勢丹ホールディングス顧問兼三越伊勢丹システム・ソリューションズ代表取締役として構造改革を推進し、その後グループITガバナンスの強化に着手。現在、PwC Japanグループのリテール&コンシューマーセクターリーダー。