米国の人型ロボット開発企業フィギュアAI(Figure AI)を率いるブレット・アドコック最高経営責任者(CEO)は、ロボットが汎用人工知能(AGI)を獲得する兆しを見たと考えている。米国時間2026年10月22日にXで公開した全社会議で、「ロボット開発に携わって以来、最も重要な瞬間だった」と従業員に語った。続けて「AGIの萌芽だと思う」と述べた。
アドコックが公開した全社会議の映像は約1時間に及ぶ。発言自体は新しいものではないが、会議で示された重要な発表や具体的な数字を伝えたメディアはごく少ない。人型ロボットは地政学的にも重要性を増しており、フィギュアAIは米国の有力な開発企業の1社だ。会議で明らかになった進展を詳しく見ていきたい。
全社会議で分かった14の重要事項、ロボット開発から資金の動向まで
アドコックは、現実世界でロボットなどを動かすフィジカルAIの開発方針や次世代機の設計、学習用データの収集規模を説明した。発言からは、少なくとも1億ドル(約158億円)規模、場合によってはさらに大きな未公表の資金調達があった可能性も読み取れる。重要な発表は次の14項目だ。
(1)次世代の人型ロボット「Figure 04」の設計が完了した。アドコックは「人型ロボットにとっての初代iPhone」と呼ぶ。
(2)新型の手には、ロボット1体を上回る数のアクチュエーター(駆動装置)がある。人間の指先と接触点をミリメートル単位の精度で追跡できる。
(3)フィギュアAIは現行モデル「Figure 03」の1000台目を製造した。
(4)Figure 03のコストは前世代の「Figure 02」より90%超低い。Figure 04の製造費も下がるのかが気になる。
(5)過去最大のデータセットと最多のGPU(画像処理半導体)を使って学習させた新モデルを、アドコックはAGIに近いと評価した。会議では、さらに大規模で高性能なモデルを数週間後に完成させる見通しも示された。
(6)「Helix 2.5」は、人間の作業映像で事前学習し、人型ロボットの歩行や手の作業など、全身の動作を制御するAIモデルだ。フィギュアAIは、人間の動作をロボットに学習させる際のスケーリング則を、このモデルで初めて示したと主張する。学習データが増えるほど、ロボットの動作予測の精度が高まるという関係だ。
(7)アドコックは、仕事別に追加学習する「事後学習」より、出荷前に汎用の基盤モデルを育てる「事前学習」が競争を決めると考えている。
(8)有償で人間の作業映像を集める「Index」は、動画3750万本、アプリのダウンロード計126万回、利用国112カ国に達した。週21万人が動画を投稿し、毎秒81分相当の学習用映像を集めている。
(9)データ収集への支出は週810万ドル(約12億7980万円)に達した。会議から12カ月間の支出は、多くのロボット企業がこれまでに調達した総額を上回る見込みだという。
(10)2026年10月の会議では、既存の計算能力を約1週間半で倍増させる予定だと説明した。
(11)2026年10月の会議時点で現金残高は20億ドル(約3160億円)を超えると、アドコックは説明した。公表済みの調達総額はクランチベースの集計で19億ドル(約3002億円)だが、私が運営するHumanoidMegaHubでは未確認の追加調達を含め29億ドル(約4582億円)と推計している。エヌビディアが主導した可能性のある10億ドル(約1580億円)の調達を含むが、裏付けは限られる。
(12)フィギュアAIのロボットは米国の3州で稼働している。新規顧客の施設では、現場で追加学習をせずに動く「ゼロショット」の導入例もある。
(13)2026年には、顧客向けにロボットがはしごを登る機能を追加した。制御ソフトウェアについては、2026年11月に新版を公開する予定だと説明した。
(14)フィギュアAIの人員は倍増した。



