長年にわたり、流動性のアグリゲーション(集約)は特段の問題とは見なされていなかった。成功のレシピは単純で、十分な数のソースを接続すれば、単一のフィードでは得られないほど狭いスプレッドと安定性が実現できた。より多くのプロバイダーが競争することは、顧客にとってより良い価格を意味した。
実にシンプルで、長く通用してきた手法だった。しかしその根底にある前提、すなわち「流動性が増えれば自動的により良い結果につながる」という考えは、かつてのようには成り立たなくなっている。では、今日の流動性アグリゲーションには何か別のものが求められているのだろうか。
なぜ「ソースを増やす」ことが有効でなくなったのか
実情として、ノンバンクのマーケットメーカーや、性質の異なる多様なプロバイダーの割合が増加している。筆者の目から見て、現在の市場は、アグリゲーションがもともと想定していた市場とは別物のように思える。ソースの数が増えただけでなく、それぞれの性質も互いに異なるものになった。
世界のFX取引高は現在、1日当たり約9.6兆ドル(約1520兆円)に達している。そして執行は電子取引市場、ディーラーとの直接取引関係、内部プールに分散しており、ディーラーは特にボラティリティの高い局面で顧客フローの内部化を進めている。
同時に、国際決済銀行(BIS)によれば、ディーラー間取引はFX市場の重要な部分を占め続けており、2025年4月時点で世界の取引高の46%を占めている。
さらに、非銀行系のマーケットメイカーや専門プロバイダーのロングテールが、それ以外のあらゆる隙間を埋めている。
重要なのは、銀行系と非銀行系の流動性プロバイダーは同じではなく、互換性もないという点だ。両者はブックの厚み、送信するデータの質とフォーマット、そして肝心な場面での執行方法が異なる。そしてアグリゲーションは、こうした差異を扱うために設計されたものではない。
アグリゲーションが本来想定していたのは、こちらに届いた時点ですでに正規化されているフィードを扱うことだった。ところが、差異に対処せずに単純にソースを追加しようとすれば、価格はかえって乱雑になってしまう。
つまり、本当の流動性問題は変化しているのであり、私たちは自らこう問うべきなのだ。「それぞれのソースの違いを理解しているか、そしてそれを意図的に管理できるか」と。
実際に取り組むと何が見えてくるのか
この問いに答えることは、旧来のモデルが要求していたよりもはるかに難しい課題である。我々自身も実際に取り組んできたからこそ、創業者として言えるのは、多数のソースから流動性を集約できるインフラを構築したいなら、複数プロバイダーとの統合だけでは不十分だということだ。
過去2年間で、我々は銀行系および非銀行系の流動性プロバイダー群を大幅に拡充・多様化してきた。長期間のテストと最適化を経て、多数の異質なソースから流動性を集約できる完全なインフラを構築した。
これは我々特有の経験ではない。この取り組みに挑む誰もが、同じ結論、すなわちこれらのソースは単一のインフラのレベルで正規化・体系化されるべきだという結論にたどり着く。そうして初めて、異質な流動性を単一のシステムとして把握し、個別のケースごとにどのソース、価格、板の厚み、執行条件を利用するかを柔軟に管理できるようになる。
さらに我々は、より高度な品質管理システムも開発した。マークアウト(約定後の価格逆行)や異常な価格変動を検出する仕組みで、非効率なソースや逸脱したソースの特定に役立つ。これらは集約流動性の品質を監視し、最終的な価格ストリームの安定性を維持する上でも有効であることが証明された。
標準化が可能にするカスタマイズ
異質な流動性を単に混ぜ合わせるのではなく、実際に正規化できるようになると、新たな次元が開ける。この転換を通じて我々は、特定の顧客一人ひとりに合わせた流動性ストリームを構築することでカスタマイズが可能になると学んだ。そこでは執行パラメータ、プールの利用可能な厚み、各流動性ソースの固有特性も考慮される。
システムが適切に構築された場合に開かれるもう一つの可能性が、品質管理である。ソースが多様になるほど、何かが見過ごされるリスク、たとえばマークアウトなどが高まる。だからこそ品質管理は後回しにしてはならず、同等に重要なものとして扱われる必要がある。
現在のフローの多くが内部プールやノンバンクのマーケットメーカーを経由していることを考えれば、より優れた検知機能は必須と言える。これほど多様な環境を管理し続けるためには、まさにそれが生存条件となるのだ。
業界はどこへ向かうのか
過去2年間で、我々は正規化されたソースの単純なアグリゲーションから、異質な流動性を集約・管理するための完全なインテリジェント・システムへと移行した。深いデータ正規化、ストリームのカスタマイズ、そしてより高度な品質・執行管理を統合したのだ。
そしてこれこそが、業界全体が向かおうとしている転換である。近い将来、我々は流動性アグリゲーションそのものを変えていくだろうと筆者は考えている。それは、より多くの流動性プロバイダーを接続することによってではなく、流動性そのものの管理方法を変えることによってである。



