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マーケティング

2026.11.07 12:03

「意思決定を取り除く」プロダクトを設計する5つのポイント

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多くのファッションブランドは、人々にさらなる選択肢を提供することを前提に構築されている。しかし、M2S Club(エムツーエスクラブ)は、選択肢を1つ取り除くことを軸に立ち上げられた。

私は同ブランドの共同創業者の一人だ。アイデアは至ってシンプルで、曜日の名前が胸元にプリントされた、曜日ごとのシャツである。サイドの小さなタグには略称が表示されており、クローゼットに掛けてある状態でも各曜日のシャツが識別できるようになっている。

多くの人はすでに、1日の中で十分すぎるほど多くの意思決定をしている。どのシャツを着るかは、必ずしもその1つである必要はない。とはいえ、衣服である以上、その人の着回しの中で定位置を獲得しなければならなかった。プロダクトは、他と違うことで注目を集めることはできる。だが、それは人々が関心を持つことを意味しない。

時として「少ないこと」自体がプロダクトになる

多くの消費者向けブランドは、何かを付け加えることを軸につくられている。スタイルやカスタマイズの選択肢を増やすことは、顧客にとって意思決定を増やすことにもなり得る。

プロダクト開発においては、大きな課題を探そうとする傾向がある。大きな課題の方がより優れたビジネス機会のように思えるからだ。しかし、人々が最も頻繁に使うプロダクトの中には、極めて小さな課題を繰り返し解決しているにすぎないものもある。

何を着るかを選ぶことを楽しむ人もいる。意思決定を取り除くことが価値を生むのは、それを手放せることを喜ぶ人に対してだけである。

プロダクトを開発する前に、見込み客に、その意思決定に直面した直近の場面を説明してもらうとよい。何に不満を感じ、どう対処したのかに耳を傾けるのだ。彼らの既存の解決策は、すでに十分に機能しているかもしれない。

トラフィックを増やしても弱いポジショニングは解消されない

新興ブランドのオーナーの多くは、最初の課題は認知されることだと考える。十分な人数の目に触れれば、売上はついてくる、という発想である。

広告は、見知らぬ人の前にプロダクトを提示し、それがなぜ重要なのかを伝えることができる。だが、関心を持つ理由を与えないメッセージは、広告費を増やしても改善しない。

M2S Clubにおけるより具体的なアイデアは、「1週間を中心としたルーティン」の構築だった。シャツを「着心地が良い」とか「仕立てが良い」と説明したところで、ブランドが存在する理由の十分な説明にはならない。買い物客は「月曜日のシャツ」という見た目の珍しさに足を止めるかもしれない。だが真の問題は、なぜそれを欲しいと思うのかを顧客が理解しているかどうかなのだ。

予算を増やす前に、そのブランドを知らない人にオファーを見せるとよい。それが誰のためのもので、なぜそれを選ぶのかを説明してもらうのだ。その説明は、メッセージのどこが不明確なままなのかを明らかにしてくれる。

クリエイティブはプロダクトの一部である

オンラインでは、顧客はシャツを手に取ったり、自分と同等の体型にどうフィットするかを確かめたりすることができない。写真こそが、購入前にプロダクトを体験する最も近い手段となる。

スタジオで撮影された洗練された写真は、「月曜日のシャツ」の見た目を伝えることはできる。しかし、それがなぜ月曜日である必要があるのかまでを伝えるとは限らない。

私たちは、クリエイティブにおいてプロダクトを取り巻く「行動」を示す必要があることに気づき始めた。誰かがクローゼットを開けてシャツに手を伸ばす様子を見せることで、このアイデアが朝の習慣にどのように溶け込むかが伝わるのだ。

これは、新しいルーティンを販売するあらゆるビジネスにとって有用なテストとなる。補足テキストなしでメイン画像や動画を見てほしい。人々が実際にそのプロダクトをどのように使うかが示されているだろうか。行動が不明確であるならば、それを実演してみせるべきだ。

顧客獲得とブランド構築は別の仕事である

私はM2S Clubを運営する前、エージェンシー側で長年過ごした。マーケティングは初回注文を生み出すことはできるが、ブランドには購入したプロダクトに価値を感じ続けてくれる顧客も不可欠だ。

キャンペーンが顧客獲得単価(CPA)の目標を達成したとしても、ブランドが定着しないケースはある。顧客体験は、マーケティングが約束した内容と一致していなければならない。

リピート購入は重要だが、そのタイミングは購入した商品によって異なる。1週間分のシャツを購入した顧客が、すぐに次の注文をする理由はほとんどないだろう。そのことだけをもって、プロダクトが成功したかどうかを判断することはできない。

約束しているものが、よりシンプルなルーティンであるなら、顧客がそのプロダクトとしばらく過ごした後に、どのように使っているのかを尋ねるべきだ。返品理由を読み、期待が満たされなかった兆候がないかを確認することも重要である。

市場にブランドの形成を委ねる

創業者がローンチ時点で抱くブランドの姿は、どれほど綿密にリサーチされたものであっても、推測の域を出ない。ひとつのアイデアに長く向き合っていると、その論理が当然のものに思えてくる。しかし顧客は、まったく別の側面に気づくかもしれない。

それこそが、私たちが常にオープンであり続けようと努めてきた点だ。人々はこのアイデアの背後にある利便性に反応しているのか、それとも単に見た目が気に入っているだけなのか。顧客が使う言葉は、企業内部で使われる言葉とは異なることが多い。

購入をためらわせた要因は何かを尋ね、顧客自身の言葉でその回答を記録しておくのだ。方針を転換する前に、繰り返し生じる懸念事項を探すこと。初期段階をリサーチの期間と捉えることで、すべての変更を「元のアイデアの失敗の証明」とみなすことなく、調整を加える余地が生まれる。

プロダクト開発が私のマーケティング観を変えた

M2S Clubの立ち上げを通じて、「何かのマーケティング方法を知っていること」と「人々が望むものをつくること」の違いを痛感した。マーケティングはアイデアを磨き上げ、適切なオーディエンスに届けることができる。しかし、プロダクト自体が顧客にとって重要であり続けなければならないのだ。

このビジネスは現在も構築途上であり、このストーリーの結末に明快な勝利の方程式が存在するとは考えていない。しかし、この経験によって、私がプロダクトについて投げかける問いの1つが変わった。「顧客が『考えるのをやめられて嬉しい』と感じるものは何か」という問いだ。私たちにとって、その答えは「今日どのシャツを着るか」だった。

(forbes.com 原文)

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