わずか4.3光年の距離にある、太陽に最も近い恒星系のケンタウルス座アルファ星は、多くの人が耳にしたことがあるだろう。この奇妙な三重星系にある小型の恒星プロキシマ・ケンタウリが、太陽に最も近い位置にある星なのだ。この星は小型の赤色矮星で、距離5.96光年と太陽系から見て2番目に近いバーナード星も赤色矮星だ。その次に近いのが、同様に小型の2つの褐色矮星「WISE 1049-5319」と「WISE 0855-0714」だ。それぞれわずか6.5光年と7.5光年の距離にある。
この最後に登場した褐色矮星WISE 0855-0714の観測を続けているジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、実に驚くべき現象を捉えた。うみへび座の方向にあるこの太陽系外天体に、水の雲が存在する証拠を見つけたのだ。さらには、雲の厚みが時間とともに変化するのが確認された。
NASAによると、木星の数倍の質量を持つ、恒星になり損ねた天体WISE 0855-0714は、予想以上に地球に類似した点がある可能性がある。天文学誌The Astrophysical Journalで発表された今回の研究では、WISE 0855-0714に複雑な大気が存在しており、激しく変化する水雲と湧き上がる化学物質のガスにより、木星に見られるような動的な気象パターンが形成されていることが明らかになった。
水雲の変化がJWST観測で明らかに
研究チームはJWSTを用いて褐色矮星WISE 0855を11時間にわたり連続観測し、15分ごとに詳細な測光分光データを収集した。この観測により、WISE 0855の上層大気に存在する水雲が、自転に伴って厚くなったり薄くなったりしていることが判明した。
今回の研究をまとめた論文の筆頭執筆者で、米アリゾナ大学スチュワード天文台のアシスタント天文学者のブリタニー・マイルズは「太陽系近傍の天体で、水の雲が薄くなったり厚くなったりしているのを確認できたのは、今回の研究が初めてだ」として「JWST以前は測光データしかなかったため、雲や化学物質、温度といった要因の影響がすべて混ざり合ってしまっていた。現在では、それらを実際に区別できるようになっている」と説明している。
これまでの観測では、雲の存在、大気温度、化学組成のそれぞれによって引き起こされる変化を確実に区別することは不可能だった。JWSTに搭載の高度な観測機器により、これらのプロセスを分離できるようになったことで、太陽系外の天体における大気の活動のこれまでになく詳細な観測データが得られている。



