※この記事は2015年1月発行の米誌「Forbes」に掲載されたものです。
米プロアメリカンフットボールリーグ(NFL)の球団グリーンベイ・パッカーズでクォーターバックを務めるアーロン・ロジャースが、タンパベイ・バッカニアーズとの試合に向けてユニフォームに袖を通す数日前から、ナイジェル・エクルズというアイルランド人は、ロジャースのオールプロ級の右腕に賭ける人々からすでに数百万ドルを集めていた。
試合当日の正午には、エクルズは1分あたり3万ドルを集めていた。ロジャースが最初のスナップを受けるまでに、エクルズが集めた金額は1800万ドルにのぼっていた。
この賭けが行われていたのは、ラスベガスのストリップ街でも、米国の取締当局の手が届かないコスタリカのウェブサイトでもない。エクルズが創業した会社「FanDuel(ファンデュエル)」は、ニューヨーク市ユニオンスクエアの店舗の上の階にオフィスを構えており、その事業は完全に合法である。
エクルズは、2006年に制定されたオンラインギャンブル法の抜け穴を利用した。この法律は、ウェブ上のポーカーを違法とし、スポーツ賭博の禁止を継続したが、ファンタジースポーツだけは対象外とした。創業から5年が経過した現在、ファンデュエルは110万人の顧客を抱え、米国の45州で営業している。
ファンデュエルは今年、5億ドル以上の賞金を支払い、5,000万ドルの手数料収入を得る見込みだ。来年、エクルズは賞金の支払額が10億ドルを超えると予想している。これは1億ドルの売上高に相当する(アナリストが業界に適用する評価倍率<マルチプル>を用いると、企業価値は10億ドルとなる)。
ファンデュエルは現在、デイリー・ファンタジースポーツ市場の約75%を占めており、最も高い流動性を誇る。そのため、最高の賞金と最も安い手数料を提供できる。約8000万ドルを調達したライバルのDraftKings(ドラフトキングス)が、残りの市場を占めている。
目ざとい投資家たちは、エクルズが創業した5年目のスタートアップ企業の株式を獲得しようと急いだ。同社はKKR、Bullpen Capital(ブルペン・キャピタル)、Scottish Investment Bank(スコティッシュ・インベストメント・バンク)、Comcast Ventures(コムキャスト・ベンチャーズ)から、8800万ドルのベンチャーキャピタル資金を獲得した。今秋には米プロバスケットボールリーグNBAがファンデュエルを公式に承認し、4年間のパートナーシップ契約を結ぶとともに、少額の出資(少数株主としての持分)も行った。



