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2026.11.06 14:00

中国ビリオネアを潤すAIブーム、「安価で強力」な中国AIを阻むトランプの経済制裁

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人工知能(AI)は、中国の複数の富豪にとって富の宝庫となっており、巨額の利益を生み続け、新たなビリオネアを誕生させている。AIバブルの可能性をめぐる世界的な不安や、AI競争で中国が追い越そうとしている米国による貿易制限にもかかわらず、トップ3に入った2人の中国人ビリオネアは、この技術で新境地を切り開き、数十億ドルを手にした。中国一の富豪であるバイトダンス共同創業者の張一鳴(チャン・イーミン)の資産額は、過去最高の840億ドル(約13兆3000億円)に達している。同社の動画生成モデル「Seedance(シーダンス)」が、映画品質の映像クリップを生成する能力でハリウッドを震撼させたことも追い風となった。

低コストの国産AIモデルを発表してから約2年、DeepSeek(ディープシーク)創業者の梁文鋒(リャン・ウェンフォン)は現在、純資産約460億ドル(約7兆2800億円)で中国3位の富豪となっている。政府支援を受ける同社は、今年2回の資金調達を経て評価額が750億ドル(約11兆9000億円)超となり、9月に最新モデル「V4.1-Flash」を発表した。世界中のユーザーとAIモデルをつなぐニューヨーク拠点のプラットフォームOpenRouter(オープンルーター)によると、同モデルはトークン量で世界1位にランクされている。DeepSeekの技術は、AIをより小さなサブセットに分割し、ユーザーの要求に最も関連する部分だけを起動することで、限られた計算能力でもAIを稼働させることを可能にしている。フロリダ拠点の調査会社SemiAnalysis(セミアナリシス)によると、同社はデータ保存要件を減らすことでモデル性能も最適化している。

2026年に純資産が増えた33人のうち7人はAI関連事業を手がけており、新たにランキング入りした7人のうち6人も同様だ。智譜AI(ジープーAI:Zhipu AI)の会長である劉徳兵(リウ・ダービン)は、純資産76億ドル(約1兆2000億円)で58位に初登場した。同社は9月、株式と転換社債の売却を通じて50億ドル(約7910億円)を調達している。OpenRouterによると、同社の「GLM-5.3 Flash」は8月の公開以来、世界で3番目に人気のモデルとなっている。

もう1人の新顔は、光トランシーバーメーカー、Eoptolink Technology(イーオプトリンク:新易盛)の会長である高光栄(ガオ・グアンロン)で、純資産47億8000万ドル(約7560億円)で99位に入った。中国南西部の楽山市にある職業学校を卒業後、地元の電子機器工場で技術者として約10年間働き、2008年に光学製品の販売を目的としてEoptolinkを設立した。その後、高速データ伝送に使われるトランシーバーの開発に乗り出し、深圳上場の同社は現在、通信からクラウドコンピューティングまで、AIインフラ業界の世界的顧客を抱えている。

ただし、アナリストは今後の潜在的な障害に警鐘を鳴らす。ワシントンD.C.に拠点を置く政策研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」の副所長を務めるヤシル・アタラン氏によると、中国のAIモデルが世界的に普及するなか、トランプ政権が米国内での利用を禁止し、他国にも同様の対応を迫る可能性があるという。

米国は10月、DeepSeekの製品を連邦政府の民生機関で使用することを禁じたと発表した。同月、中国はAI関連技術約20種類について輸出管理措置を提案したが、DeepSeekやZhipu AIのモデルを含め、すでに市場に出ている大半のモデルは適用除外となる可能性が高いと、上海拠点の株式調査会社86Researchのアナリスト、チャーリー・チャイ氏は述べる。

米国による全面禁止は自滅的な結果を招く可能性がある。なぜなら多くの米国スタートアップは、コスト効率の高い中国製モデルを好む傾向があるためだと、調査会社Gavekal Dragonomicsの北京拠点アナリスト、ティリー・チャン氏は指摘する。彼女は「中国のAIを遮断すれば、米国自身のAI普及と浸透を遅らせることになりかねない」と彼女は語る。

(forbes.com 原文)

編集=鈴木喜生

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