マーケット

2026.11.06 15:00

SHEINの評価額が最盛期の「5分の1」に激減、香港上場後の厳しい現実と成長の鈍化

Timon - stock.adobe.com

Timon - stock.adobe.com

BRANDVOICE | Paid Program

もっと見る>

ファストファッションの世界的ブランドであるSHEIN(シーイン)の評価額は、かつて1000億ドル(約15兆8000億円)という目を見張る水準に達していた。だが2026年9月に香港証券取引所に上場した際、同社は厳しい現実を突きつけられた。IPO(新規株式公開)で136億香港ドル(約2750億円)を調達したものの、上場時の時価総額は270億ドル(約4兆2660億円)で、4年前の2022年に記録した最盛期の評価額を70%以上下回った。上場後、株価は4分の1近く下落し、時価総額は200億ドル(約3兆1600億円)まで縮んでいる。

メディアへの露出を避けることで知られる共同創業者の許仰天(クリス・シュー、スカイ・シュー)は、同社株の約30%を保有しており、今回の中国長者番付では資産63億ドル(約9950億円)で70位に入った。

シンガポールの証券・金融サービス会社UOB Kay Hianで、富裕層の資産管理を担うプライベート・ウェルスマネジメント部門のディレクターを務めるケネス・ゴーは、評価額がここまで急落した理由として、世界的な規制の逆風と、売上高の伸びにブレーキをかけてきた物流コストの上昇を挙げる。さらにゴーはもう1つの要因として、最近の投資家が、安い衣料品を売る企業よりもAI関連の事業に引きつけられている点も指摘する。2025年のSHEINの売上高は前年比8%増の418億ドル(約6兆6040億円)で、21%増だった2024年から伸びが鈍った。2026年上半期(1〜6月)の売上高は1%増の201億ドル(約3兆1760億円)と、かろうじて増収を保った。

2025年の年間売上高の6割近くは、米国と欧州が占めていた。ところが2025年にトランプ政権は、SHEINが顧客に送るような少額小包の免税輸入への取り締まりを強化し、2026年には欧州連合(EU)もこれに追随した。同社は、TemuやTikTok ShopといったEC(電子商取引)の競合からの圧力にもさらされている。こうした課題を抱えながらも、SHEINは、衣料品と靴のオンライン小売企業として、売上高でいまも世界最大だとしており、2025年12月時点のアクティブ顧客数は2億7300万人に上るという。

シンガポールに本社を置くSHEINは、商品の大半を、中国のアパレル生産の中心地である広州から調達している。7500社に上る製造委託先の多くも広州にある。関税の影響を抑えるため、同社はブラジルやトルコのサプライヤーとの取引も進めている。ゴーは、スペインのZARAのような衣料品小売の大手も柔軟な生産網を持っているが、オンライン小売企業であるSHEINは、顧客の反応をリアルタイムでつかんで品ぞろえを調整できると話す。同社によると、2026年1〜3月期には、1日あたり4700点の新しいデザインを加えたという。

IPOの目論見書によると、SHEINは上場で調達した資金の約40%を、技術力の強化に充てる計画だ。強化の対象には、サプライヤーが生産サイクルや品質を把握できるよう同社が提供しているクラウド型のソフトウェアなどがある。

また同社は、今後3年間で技術系の人材を1500〜2000人採用する計画も掲げている。だがゴーは、技術への投資や人材の採用は、投資家に歓迎されにくいとみている。もともと利益率の低い事業で、コストを押し上げるだけだからだという。

「中国の富豪100人」2026年版のランキングはこちら。

SEE
ALSO

マネー

2026年中国長者番付、TikTokの共同創業者が初の首位 AIで資産13兆円超え

(forbes.com 原文)

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事