2020年に雇用主たちが従業員に在宅勤務を求めざるを得なかった頃を覚えているだろうか。生産性の低下を懸念する声も多かった。
時を進めて2024年初頭、米国では25歳以上の高学位保有者のうち43.6%がテレワークを行っていた。同時期、英国でも学位または同等資格を持つ人々の42%がハイブリッドワーカーだった。その年の後半、学術誌Natureに掲載された論文では、1612人の従業員を対象とした調査の結果、週2日のリモートワークを含む勤務スケジュールはパフォーマンスに影響を与えないという結論が示された。それどころか、離職率を約33%引き下げる効果があったという。
とはいえ、私自身の経験からも、ハイブリッドワークには独自の課題があることを痛感している。その一つが、企業が人材を見出しリーダーシップを育成する従来の方法が機能しなくなるという問題だ。
過去数十年間、この育成プロセスは「近接性」によって自然に生じていた。誰かが素晴らしいアイデアを出したり、創造的に問題を解決したりする場に居合わせることができた。長期間にわたって仕事に余分な努力を注ぐ人物に気づくこともできた。
しかし、ハイブリッドワークではこうしたシグナルが弱まるか、完全に消えてしまう。従業員もそれを自覚していることが、前述のNature誌の研究でも裏付けられている。試験に参加した多くの人々は、自身の努力が見過ごされることを恐れて在宅勤務に消極的だった。
もし組織にとってハイブリッドあるいは完全リモートが適していると判断したなら(かつ出社義務化を打ち出していないなら)、人材発掘のための別のアプローチが必要になる。長年の経験から、私は以下の6つの原則が有効だと見出した。
1. リーダーシップ育成を意図的に行う
オフィス環境では、経験を積みスキルを磨くにつれて、やがて誰かがより大きな役割に成長していく。その様子はリアルタイムで見届けられる。しかしハイブリッド環境では観察が限られるため、そのギャップを意識的に補わなければならない。
具体的には、以下の通り。
• 成長の姿を定義する
• リーダーシップのシグナルに気を配る
• 育成対象者を明確に指名する
• 成長を促す対話の機会を設ける
言い換えれば、自然発生に任せるのではなく、プロセスを戦略的にマネジメントするということだ。
2. リーダーシップの基準を定義する
あなたの組織で昇進するには何が必要か。多くの場合、この問いに明確な答えは示されていない。オフィス環境では、どのような行動が評価されるかを観察によって把握できる。だがリモートで働く人々は、そのフィードバックループから切り離されている。
解決策は至ってシンプルだ。本当に評価したい資質をいくつか書き出し、それを育てる努力をすることだ。リモートのスタッフがその期待に応えられるなら、物理的な近接性はもはや問題ではなくなる。
3. 可視性より影響力を重視する
組織によっては「存在感」に執着するが、オンラインでいることや返信の速さだけでは本質的な成果にはつながらない。本当に探すべきリーダーシップのシグナルは「影響力」だ。
問うべきは、以下の点である。
• 他者の仕事を前に進めているのは誰か
• 誰もが解決できない問題の最後の砦となっているのは誰か
• 意見を出すだけで重要な意思決定に影響を与えるのは誰か
自覚の有無にかかわらず、その人がいないと誰もが即座に気づくような存在こそが、実際にリーダーシップを発揮している人物だ。
4. 育成を日常業務の一部に組み込む
近接性という変数を排除するもう一つの方法は、リモートスタッフにプロジェクトの完全な責任を委ねることだ。ルーティンワークを割り当てるだけでなく、本当に重要なタスクを任せるということである。
こうした重みのある仕事こそが、人を専門的に成長させる機会を与える。そこから生み出される成果は、誰にも反論できない証拠となる。誰かがプロセスを見届けたり、リモートワーカーを細かく管理したりする必要があるという考えは捨てなければならない。判断は、彼らが成果を提出するまで保留すべきだ。
5. マネジャーに最大限の体制を整える
直属のマネジャーは、リモート従業員との最も強い接点である。彼らがルーティン業務を委任し、フィードバック、コーチング、サポートを提供する。
ハイブリッド環境は、この役割を以前よりもはるかに重いものにしている。Nature誌の研究でも、離職率の改善効果がマネジャー職には及ばないことが確認されており、これを裏付けている。
この点を認識した上で、マネジャーが成功できる体制を整える必要がある。報告業務を減らす、人材育成に充てる時間を増やす、物理的にそこにいない従業員を代弁していることを理解する――そうした対応が考えられる。重要なのは、課題を認識し、可能な限り最善のサポートを提供することだ。
6. ハイブリッドのパイプラインを全員にとって公平に保つ
近くにいる人が最良の機会を得る傾向がある。しかし、一番そばにいるからといって、最も努力しているとも、最も才能があるとも限らない。昇進の唯一の基準が物理的にオフィスにいることだとすれば、どれほどの潜在能力を見逃しているかわからない。評価すべきはパフォーマンスであって、存在感ではない。
近接性バイアスは実在し、組織全体を形作る力を持つ。もしあなたの組織がハイブリッド雇用主として機能しているなら、この種のバイアスに注意を払う必要がある。この欠点を一つ排除するだけで、停滞した職場と活気あふれる組織との差を生むことができるのだ。



