NASAの惑星探査機ボイジャー1号は、日本時間の2026年11月18日19時16分07秒、光が24時間で進む距離「1光日」に到達する。これは、1977年に打ち上げられたボイジャー1号が、秒速約17kmの速度で49年2カ月間にわたって飛び続け、地球から259億200万kmのポイントに到達することを意味する。
宇宙における距離は、太陽と地球の距離を基準としたAU(天文単位、1億5000万km)で示される。地球から火星までは1.5 AU、木星は5.2 AU、海王星は30.1AUとされるが、今回ボイジャーは173 AUに到達する。その間にボイジャーは、海王星の公転軌道の外側に広がる「エッジワース・カイパーベルト」(30~50 AU)を通り抜け、太陽から拡散される物質が届く領域「太陽圏(ヘリオスフィア)」(ボイジャー1号の軌道では約120 AU)からも離脱した。
これほど遠方に探査機が到達するのは史上初。ボイジャー1号は「地球からもっとも遠方に到達した人工物」として、人類の歴史に新たなマイルストーンを打ち立てるとともに、引き続き記録を更新し続ける。
満身創痍のボイジャー1号
ただし、半世紀にわたって航行を続けるボイジャー1号は、すでに満身創痍の状態にある。太陽から遠く離れた領域を航行するボイジャーは、太陽電池パネルでは十分な電力が賄えないため、その電力はRTG(放射性同位体熱電ジェネレーター)によって供給されている。RTGとは、プルトニウム238が崩壊する際に発する熱を電力に変換する発電機であり、打ち上げ当初は約470Wの発電能力があった。しかし、その後は毎年4W程度ずつ低下し、現在では240W程度に留まる。240Wとは、少し大きめの冷蔵庫の消費電力と同程度だ。
そのため、ボイジャーを運用するNASAの一機関であるJPL(ジェット推進研究所)のチームは、半世紀にわたってボイジャーの省電力化に取り組んできた。その結果として、ボイジャーが搭載する10種の観測機器のうち、6種類が2016年までに停止された。さらに2025年には「宇宙線サブシステム(CRS)」が停止され、2026年4月には「低エネルギー荷電粒子(LECP)」もカットされた。現在稼働している観測機器は、「プラズマ波サブシステム(PWS)」と「磁力計(MAG)」の2つだけだ。
しかし、この状態においても、2027年夏には他の機器も停止する必要が見込まれた。そのためJPLは、数ヵ月にわたって「ビッグバン」と呼ばれる省エネルギー対策に取り組み、9月上旬、機器を一定温度に保つための3つの機器を、他の3つに切り替えることに成功した。これによって消費電力を削減しつつ、船体全体に熱を適切に分散できるようになり、残り2つの観測機器も延命できる。



