米国発の「Pinterest(ピンタレスト)」をご存じだろうか。ファッションやインテリア、料理などの画像を探し、気に入ったアイデアを保存できるサービスだ。日本では、海外のデザインやライフスタイルを参考にしたり、イラストやデザインの作画資料を探すための「画像共有SNS」というイメージを抱く読者も多いだろう。
しかし、現在のピンタレストはこれらの用途を超えて拡大している。世界の月間アクティブユーザー数は6億4000万人に達し、約83%が米国・カナダ以外のユーザーだ。特にZ世代の利用が広がり、アジア太平洋地域も重要な成長市場になっている。
同社が目指すのは、AIを使ってユーザー自身も気付いていない好みや言語化できない欲求をすくい上げて、新しいアイデアとの出会いからショッピングまでを促すプラットフォームになることだ。
2026年1月に同社初の最高事業責任者(CBO)に就任したリー・ブラウン氏が、東京で開催されたイベントへの登壇に合わせて来日した。日本市場への期待やAIを活用した差別化戦略、そして次世代のデジタルプラットフォームとしてピンタレストが目指す事業のあり方を聞いた。
人ではなく「アイデア」とつながる。ピンタレストがSNSと違う理由
ピンタレストと一般的なソーシャルメディアサービスとの大きな違いは何か。ブラウン氏は「ユーザーがデジタルプラットフォームの中ではなく、現実世界で人や好きな物とつながることを支援するサービスであるところ」だと説明する。
同社には事業の大きな柱が3つある。ひとつが「ビジュアル検索」、もうひとつは「AIを活用するショッピング」、そして3つめが「広告効果を測定できるプラットフォーム」だ。
ユーザーはピンタレスト上で気になる画像や動画を見つけたら、「ピン」として保存できる。複数のピンをテーマごとに、例えば部屋の模様替えや旅行の計画などの題目で「ボード」に仕分ければ、自分のやりたいことを具体化するためのアイデア集になる。
もし私たちが「部屋の模様替え」を計画していたとする。多くの場合、最初から欲しい家具やカーテン、壁紙などの商品を具体的に決められているケースは少ないはずだ。多くの場合は漠然と描いているイメージを元に、少しずつほしいアイテムに狙いを定めるものだろう。ピンタレストでは画像を手がかりに、好みの色や雰囲気を絞り込んでいくと、ユーザーが知らなかった商品や模様替えのアイデアに出会える。ブラウン氏が説明を続ける。
「多くのユーザーは自分がまだ言葉にできていない好みや、欲しいものを発見するためにピンタレストを利用しています。ビジュアル情報を比較しながら、ユーザーが自身の美的感覚やスタイルに合うものを見つけられることがピンタレストの特徴です」
プラットフォーム上では月間800億件以上の検索が行われている。その96%以上には特定のブランド名が含まれておらず、その半数以上は購買を検討しながらプラットフォーム上で検索を楽しんでいるという。つまりピンタレストは、欲しい商品が決まってから訪れる場所ではなく、欲しいもののイメージを具現化する用途に多く活用されているのだ。



