贈り、贈られたモノや体験は、人生を変えるほどの力を持つことがある。企業のトップ、リーダーたちが経験した、モノや体験に介在する特別な思い入れを紹介する。自身の生き方、サクセスストーリーにも影響を及ぼしたであろう「GIFT」の逸話には人間味あふれる姿がある。希薄化も言われる現代の人間関係とは異なる、特別な関係だ。
THE GIFT #41
重松大輔
スペースマーケット代表取締役社長
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米国の老舗筆記具ブランド「CROSS」の優美なボールペン。
クリップのサイドに名前が刻まれている。
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私がスペースマーケットを創業したのは、2014年のこと。以来、会社にとって重要な契約や大きな節目でサインをする際、必ず使っているのが、この名入りのボールペンだ。
2003年から7年間、私はまだ創業間もないフォトクリエイトに身を置いていた。新規事業の推進を任されるなかで、スタートアップとは何か、そして事業創造の“いろは”を学ばせてもらった。仲間とともに会社を成長させ、上場に導いたかけがえのない経験は、起業家としての揺るぎない土台となっている。
同社を退職する際、当時の取締役の方たちから贈られたのが、このボールペンだ。起業を前に期待と不安が入り混じるなか、背中を押して送り出してくれたことが本当にうれしく、大きな励ましとなった。
創業以来、時に壁に直面し、さまざまな意思決定のなかで迷うこともある。だが、このペンを握ると、当時のことや贈ってくれた彼らの顔が脳裏に浮かぶ。そして、自分がなぜ起業をしたのか、どんな会社をつくりたかったのか、その原点を思い起こさせてくれるのだ。もはや単なる記念品の枠を超え、大切な節目を共に歩んできた相棒ともいえる存在である。
しげまつ・だいすけ◎1976年、千葉県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、2000年にNTT東日本入社。06年フォトクリエイトに参画。13年東証マザーズ上場を経験。14年にスペースマーケットを創業し代表取締役社長へ。その後、19年12月に東証マザーズへ上場を果たす。シェアリングエコノミー協会理事。



