米国時間2026年11月2日早朝、テクノロジー業界に巨額の企業統合のニュースが飛び込んだ。半導体メーカーのマーベルが、光通信部品メーカーのルメンタムを買収すると発表した。両社が買収契約を締結したのは11月1日だ。対価はすべてマーベル株で支払う。発表された1150億ドル(約18兆2031億円)は、買収観測が広がる前の10月28日の株価に基づくルメンタムの企業価値を示す。米国株式市場は上昇して取引を始めた。
しかし、投資家は買収を好感しなかった。11月2日、ルメンタム株は18.6%下落し、マーベル株も12.7%急落した。ナスダックは上昇して始まったものの、終値は前日を下回った。プロの運用担当者が、取引開始時の株価上昇を利用して、取引時間中に株式を売り続けたためだ。
マーベルによる買収は、AIデータセンターの通信方式が向かう先を映し出している。半導体チップ間のデータ通信は、銅線を使う電気信号から光信号へ移りつつある。
マーベルは半導体設計とレーザー技術の統合を目指す
マーベルは、データセンター内のデータ通信を担う半導体や、大手クラウド企業向けの専用AI半導体を設計している。ルメンタムは2015年にJDSユニフェーズから分離独立した米国企業だ。データを光信号に変え、ガラス製の光ファイバーで送るためのレーザーや光学部品に加え、産業用レーザーも製造する。
買収が成立すれば、マーベルの半導体設計能力とルメンタムの光通信技術を兼ね備えた企業が誕生する。計画どおりに進めば、半導体企業ブロードコム(Broadcom)と十分に競い合える存在になりそうだ。
マーベルの最高経営責任者(CEO)、マット・マーフィーは、統合によってチップ間、サーバー間、データセンター間の通信容量を高められると説明する。統合会社が製品を提供できる市場は、5500億ドル(約87兆583億円)規模に達すると主張している。
両社は買収によって、年間10億ドル(約1583億円)を超えるコスト削減効果を見込んでいる。また、買収完了後最初の通期には、マーベルの調整後1株当たり利益が増加すると予想している。
マーベル株の急落で買収対価はどう変わったのか
ルメンタムの株主は、保有するルメンタム株1株につきマーベル株4.5株を受け取る。買収観測が広がる前の2026年10月28日の株価で換算すると、ルメンタム株1株当たり約1132ドルに相当する。当時のルメンタム株価を23.9%上回る水準だった。
買収完了後、ルメンタムの株主は統合会社の約3分の1を保有する見込みだ。買収には両社の株主や規制当局の承認などが必要で、2028年上半期に完了すると予想されている。
買収対価を株式で支払うため、ルメンタム株主が受け取る株式の価値はマーベルの株価によって変動する。11月2日のマーベル株終値171.41ドルで計算すると、交換される4.5株は約771ドル相当となる。買収観測が広がる前の株価に基づく1132ドルを大幅に下回った。
株価はその後も下落した。11月4日の終値は、マーベル株が159.86ドル、ルメンタム株が626.82ドルだった。マーベル株4.5株の交換価値は719.37ドルとなり、当初発表された約1132ドルとの差がさらに広がった。
マーベルの既存株主にとって、統合会社の持ち分の約3分の1をルメンタム株主へ渡す取引でもある。11月2日の株価下落は、買収の代価に対する投資家の異議を示していた。



