学術誌『Psychological Science』に掲載された新たな研究は、「シングルとして暮らす場所によって、何か違いはあるのか」という、多くの人が思いもよらなかった疑問に答えようとしている。心理学者ティタ・ゴンサレス・アビレスが率いる研究チームは、英国の約400の地区に暮らす38万人以上の成人から得た回答を分析した。研究チームは、交際中の人とシングルの人との間によく見られる幸福度の差が、地域によって異なるのか、それともどこでも同じように見られるのかを明らかにしようとした。
その研究結果は、シングルの人向けの一般的なアドバイスでは見落とされがちな、実践的な教訓を示している。そうしたアドバイスは通常、自分で何をすべきかに焦点を当てており、まるでシングルかつ不幸であることは個人的な問題であり、自分で解決すべきことであるかのように扱われている。だが、この研究は異なる見方を示唆している。シングルの人がどれほど満足感を得られるかは、シングルであることを周囲の人がどのように捉えているかによって形づくられるという。
シングルライフを「充実した人生」と捉える環境
研究チームはまず、これまでの多くの研究で確認されてきた傾向に着目した。英国全体で見ると、交際中の人はシングルの人よりも生活満足度が高く、その差は就労状況や健康状態によるものとほぼ同程度だった。この結果は幅広い個人・地域的要因を考慮した上で確認されたものであり、単に収入や健康状態によるものではなかった。
次に研究チームは、それぞれの地区で交際相手がいる人がどれくらいいるかを調べた。交際相手がいる人の割合は、ロンドンのある区では約55%だったのに対し、ボルソーバー地区では約80%に達していた。研究者たちは、周囲のほぼ全員が交際相手がいるような場所では、シングルの人は場違いな気分になりやすく、幸福感が低下すると予測した。
だが、調査結果はそうではなかった。交際が一般的な地区では、交際中の人とシングルの人との差は確かに広がったが、それは主にその地域の交際中の人々の幸福度がより高かったためだった。シングルの人の満足度は、住む場所にかかわらず安定していた。カップルに囲まれていることが、シングルライフをより辛いものにするわけではないようだった。



