AI(人工知能)をめぐる不安はもはや、「どの仕事が消滅するかの予測」という段階をはるかに超えている。こうした不安は職場にますます浸透しており、社員たちはAIの導入方針に反発し、時にはその普及を遅らせている。
アンソロピックの元研究員であるジェイコブ・コクソンは2026年9月、自身のX(旧ツイッター)アカウントで辞職を表明した。このとき彼は、主要AI企業がAIの自律性と自己改善能力を高めることで、「人々の命を賭けたギャンブルをしている」と警鐘を鳴らした。
コクソンの懸念は、先進AIと人類の存亡に関わるリスクについてのものであり、一般の職場に導入されるソフトウェアについてのものではないが、こうした警鐘の報道が飛び交っていることもまた、AIが今後どこに向かうのかを巡る、全体的に不穏な空気に拍車をかけている。
こうした不安は、企業内部においてすでに明確な抵抗を生み出している。コンサルティング会社Sombra(ソンブラ)が実施したグローバル調査によって、企業のAIイニシアチブに対し、社内で反発が広がっている実態が明らかになった。回答者の70%は、中程度ないし強い抵抗があると答えた。自社における直近のAIプロジェクトに、社員の抵抗によって遅れが生じたと答えた人は約3分の1に上った。
ソンブラは、こうした抵抗がエスカレートする可能性に触れ、「大規模なAIサボタージュ」と呼んでいる。だが、社員は本当にAIを妨害しているのだろうか? それとも、こうした抵抗は何らかの正当な懸念を示すもので、企業はそれに対処できていないのだろうか?
社員は何に抵抗しているのか
ソンブラの調査結果からは、社員が単に仕事を失うことを恐れてAIに抵抗しているわけではないことが示唆される。回答者の58%は、AI導入の主要な障壁として、データプライバシーとセキュリティを挙げた。AIが社員に取って代わることに懸念を示したのは、回答者の47%だった。
社員が、部外秘の顧客情報を、未承認のチャットボットに入力することを拒んだからといって、必ずしも「反AI」とはいえない。自動化システムによるパフォーマンス評価に懐疑的な社員は、必ずしもテクノロジーを恐れているわけではない。あてにならないAIアウトプットに異を唱える社員はむしろ、高くつく失敗から組織を守っているのかもしれない。
リーダーにとっての課題は、変化への抵抗と、有益な情報を含む抵抗を区別することだ。ワークフローを熟知した社員は、トップダウンでAI転換を推進する幹部たちには見えていない、プライバシーや正確性、顧客に関するリスクを認識している可能性がある。



