自律的に働くAIの信頼性をどう確保する
AIシステムが企業の仕事を引き受ける範囲が広がるほど、必要な情報を与え、仕事の結果を検証し、アクセス権限を適切に管理する仕組みが重要になる。ガートナーが選んだ4つの技術は、AIエージェントが人の指示を受けて自律的に仕事を進める際の管理基盤に関係している。
(4)社内情報をまとめるAIコンテキストプラットフォーム
AIコンテキストプラットフォーム(AI context platforms)は、AIエージェントが指示を理解し、企業の事業目標に沿って行動するための背景情報をまとめる基盤だ。社内の知識が複数の場所に分散していると、AIエージェントが十分に役立たない場合がある。ガートナーによると、AIが利用できるデータの意味を明確に整理することで、AIエージェントの精度が最大80%向上し、費用が最大60%減る可能性がある。
(5)AIが作ったプログラムの品質を検証する仕組み
AIコーディングエージェントハーネス(AI coding agent harness)は、ソフトウェア開発を担うAIの成果を評価するための仕組みだ。開発ツールを企業内の情報や検証手順、結果に対するフィードバックと結び付ける。重要なのは、AIにプログラムを生成させることだけではない。AIが加えた変更が品質、セキュリティ、保守のしやすさに関する要件を満たしているか、確認することだ。
(6)人に代わって動くAIエージェントのIDと権限を管理する
AIエージェント・アイデンティティ(AI agent identity)は、人に代わって仕事をするAIエージェントのIDとアクセス権限を管理し、信頼性と責任の所在を確保する仕組みだ。エージェントごとに適切な権限を与え、管理責任者を明確にし、実際の活動に応じて制御する必要がある。
ガートナーは2028年までに、企業のセキュリティ侵害の4分の1がAIエージェントの悪用に起因すると予測する。人間の利用者だけでなく、AIによるシステムへのアクセスも管理する必要がある。
(7)セキュリティ上の弱点を自動的に発見・修正する
オートノマス・エクスポージャー・リメディエーション(autonomous exposure remediation、AER)は、AIと自動化技術を使ってセキュリティ上の脆弱性を発見し、対処の優先順位を決め、修正する仕組みだ。日本語では「自律的エクスポージャー修復」とも表記される。
脆弱性の検知と修正作業を結び付け、修正プログラムの適用やテストにも対応する。企業の技術部門には、修正を速めながら、修正に失敗した場合は問題を検知して変更を元に戻せる安全策が求められる。


