月間数千万件のアクセスがある数百のウェブサイトが、運営者の知らない間にiPhone向けスパイウェアの「配信網」に組み込まれていると、セキュリティー専門家が警告している。
不正な広告や侵害ページを見るだけで、iPhoneが攻撃を受ける
暗号資産を盗み取ろうとする犯罪者が、iPhone利用者を大規模に狙っている。セキュリティー専門家によると、不正広告を見たり、侵害されたウェブページを開いたりするだけで攻撃を受ける仕組みだ。数百のウェブサイトが侵害され、インスタグラム上でも不正プログラム(マルウェア)を配信する広告が表示された事例がある。
モバイルセキュリティー企業iVerifyの共同創業者兼最高執行責任者(COO)、ロッキー・コールは、攻撃の特徴を次のように説明する。「利用者は悪質なサイトを訪れているわけではない。何も悪いことをしていない。ただ画面をスクロールしているだけで感染している」。
セキュリティー研究者スコット・ヘルムは、iPhoneへの侵入を試みる不正コードが動作している数百のウェブサイトを発見した。iVerifyはヘルムによる発見を受け、侵害の実態を調査した。
犯罪者の狙いは、暗号資産ウォレットからの資金窃盗
犯罪者の狙いは、侵害したiPhoneで使われている暗号資産ウォレット(暗号資産の管理に使う電子財布)から資金を盗むことだ。コールは、不正広告が混じったSNSの投稿をスクロールするだけで、アップル製品の利用者なら誰でも被害に遭う可能性があると指摘する。
アルジャジーラの記者にも広告経由の監視攻撃が使われた
監視技術を研究するシチズン・ラボは2026年10月15日、アルジャジーラの記者が使うWindowsパソコンへの攻撃を報告した。政府機関が使うような高度なスパイウェアをパソコンに仕込むために、iPhone攻撃と類似した手口が使われたという。アルジャジーラの記者への攻撃では、スパイ活動を行った側が広告技術企業と協力した疑いがある。コールによると、サイバー犯罪者もオンライン広告の仕組みを悪用し、iOSを搭載したiPhoneに対して同様の攻撃を密かに続けている。



