GPSは電波妨害や偽装に弱く、自動運転には高い測位精度が求められる
米国防総省が1970年代に開発したGPSは、中高度の軌道を回る衛星群からの信号を使って位置を特定する。無料で利用できることも利点だ。しかし、GPSの信号は比較的弱く、弱点を見過ごせなくなっている。別の電波によってGPSの信号を妨害したり、偽の電波で受信機に誤った位置を認識させたりする技術が広がっている。偽の電波を使って位置情報を欺く手法は「スプーフィング」と呼ばれる。
現代の戦場では特に深刻な問題だ。ロシアの電子戦によって、ウクライナ側はGPSを補う別の測位手段も使わざるを得なくなっている。影響は軍事分野にとどまらない。依然としてGPSに大きく依存する民間の交通・輸送サービスにも支障が出ている。
マニングは「GPSだけに頼る世界はかなり危険な状態にある」と語る。高速道路では、車が本線を走っているのか出口へつながる道路を走っているのか、GPSが判断を誤ることも珍しくないという。「人間がハンドルを操作する運転から、手を離せる運転へ移行するには、走っている道路を大まかに把握するだけでは足りない。安心してハンドルから手を離せるほど確実に、走行中の車線を特定する必要がある」。
Xonaが低軌道衛星で高精度測位の商用化に挑む
Xonaが計画するのは、GPSより強く信頼性の高い信号を届ける商用衛星網だ。スターリンクが普及させた事業モデルにならい、低軌道衛星を大量生産してネットワーク化し、測位サービスを販売する。最初の衛星群「Pulsar」には258基を配備する予定で、GPS衛星より低い高度を周回するため、地上に届く信号も強くなる。
Pulsarは、帯域幅の広い電波と先進的なソフトウェアを組み合わせ、センチメートル単位の測位精度を実現する計画だ。GPSでは通常、同程度の精度を得るために補正データを使う必要がある。
Xonaは2025年に打ち上げた実証衛星「Pulsar-0」で、500回を超える信号送信を実施した。Xonaによると、試験では2センチメートル未満の測位精度を実証したという。市販の受信機でも、ハードウェアを変更せずにPulsarの信号を利用できることを示した。
Xonaの発表によると、2026年8月、米国連邦通信委員会(FCC)が250基を超えるPulsar衛星群からの測位信号送信を認可した。PulsarはGPSなど既存の衛星測位システムと併用できるように設計されており、運用初期から既存の測位機器を生かすことを目指している。


