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経済

2026.10.22 09:21

資本を追い、人を追う:米欧企業が今アジアに賭ける理由

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最近、シティのジェーン・フレーザーCEOによる論考を読んだ。世界は投資機会を求めて、なお米国を選び続けているという内容である。なぜか。米国には、再現が難しい組み合わせがある。厚みのある資本市場、規模、イノベーション、そして機会を生み出しながら継続的に適応する力だ。

だがフレーザーの見解を読み、アジア太平洋地域(APAC)で働く私たちにとって、より切実な問いが浮かんだ。米国がそれほど強力な投資先であり続けているなら、なぜ米国や欧州の企業はアジアに数十億ドルを投じているのか。

私は、これらは実のところ相互補完的な投資戦略だと考えている。投資家は、米国が資本を調達し、知的財産を開発し、テクノロジーを構築するうえで最良の場所だと考える一方で、シンガポールやマレーシアのような国こそが、次の成長局面を実現すべき場所だと考えることもできる。注目すべきことに、アジアの新興市場は2025年に約6440億ドル(約102兆円)の海外直接投資(FDI)を受け入れており、東南アジアが最大の受け入れサブ地域となった。

これは単純に、資本が機会を追っているということだ。投資を検討する米欧諸国にとっての問いは、「今後10〜20年の世界的成長に参加するために、どのアジア市場に深く根差す必要があるのか」である。

「アジア」は分析単位として適切ではないかもしれない

私たちは「アジア投資戦略」について、あたかもこの大陸が1つの均質な市場であるかのように語る。だが、この地域で約20年にわたり仕事をしてきた経験から言えば、市場ごとに果たす役割は異なる。

• シンガポール:同国はAPACにおけるリーダーシップ、金融、地域調整に注力しており、その結果、地域統括本部、顧客対応型の環境、コラボレーション拠点への需要が生まれている。

• インド:ここでは企業が、人材、テクノロジー、グローバル・ケイパビリティセンター、イノベーション、国内成長を重視している。ワークプレイスは、人材を引きつけ、イノベーションを育み、業績を高めるための重要な手段となっている。

• 中国:世界的なプレーヤーとして確固たる地位を築く中国は、市場アクセス、製造の厚み、研究開発(R&D)、ローカルイノベーションを軸としている。こうした優先事項には、高度にローカライズされた事業を効果的に支えるワークプレイスが必要だ。

• マレーシアとベトナム:両国は製造、テクノロジー、サプライチェーンの多様化に加え、事業運営のエコシステムとの結びつきを強める企業環境を重視している。

• 日本と韓国:これら東アジア市場は、テクノロジー、洗練された顧客、専門能力、R&Dに重点を置いている。高付加価値の知識とイノベーションの環境が求められる。

グローバルなワークプレイスの設計・施工業界に身を置く者として、私は自問した。「インドの投資テーゼがシンガポール、中国、ベトナムと根本的に異なるなら、なぜワークプレイス戦略は同じだと考える人がいるのか」。明らかに同じではない。

インド、中国、そして進化するネットワークの戦略的役割

サプライチェーンのデカップリングが広く議論されているとはいえ、中国をアジアの成長方程式から単純に外すことはできない。中国の製造の厚み、インフラ、サプライチェーン、技術力、国内市場は、依然として再現が極めて難しい。同時に、地政学的緊張により、米欧企業は集中リスクをはるかに強く意識するようになった。製造の多様化が進み、新たな人材拠点が形成されるなか、サプライチェーンは再設計されている。

私は、中国、インド、そして東南アジア諸国連合(ASEAN)を構成する国々への投資を組み合わせる戦略を目にする機会が増えている。企業は、中国には明白な優位性を求め、インドには人材、テクノロジー、国内成長、グローバルなケイパビリティを求める。シンガポールには地域統括機能を、マレーシアとベトナムには選択的な製造、テクノロジー、サプライチェーンのエコシステムを求めている。

オフィスはビジネスケースに従うべきだ

アジアにおける未来の多国籍企業は、従来型のハブ・アンド・スポーク組織というより、ネットワークに近い姿になるかもしれない。FDIは数十億ドル単位で報告されるが、投資は金銭にとどまらない。それは工場、地域統括本部、研究所、イノベーション拠点、R&D施設、データセンター、ケイパビリティセンター、企業オフィスになる。そして、そのすべてが最終的には人を必要とする。

ワークプレイスは、投資判断の物理的な帰結にすぎないわけではない。適切に設計されれば、その投資を成功させる仕組みの1つになる。たとえば、リーダーシップ、顧客、市場をつなぐためにシンガポールに本部を置くなら、ワークプレイスはそれを可能にするものでなければならない。専門人材のためにインドで5000人規模のケイパビリティセンターを築くなら、人材の獲得、定着、学習、従業員体験が重要になる。顧客、R&D、ローカルイノベーションのために中国で拡大するなら、ワークプレイスにはまた別の目的が生まれる。

オフィスは、それを生み出したビジネスケースから切り離せない。だが、拡大の手順はあまりにも多くの場合、建物を探し、人数を計算し、グローバル基準を適用し、オフィスを設計し、人を移す、という順番になっている。よりよいアプローチは、「なぜこの市場に投資するのか、どのような能力を構築すべきか、どのような人材が必要か、その人たちが力を発揮できる環境は何か」と問うことだ。

APACには独自のプレイブックが必要だ

歴史的に、多国籍企業は米国や欧州でワークプレイス基準を策定し、それを他地域に展開してきた。グローバルな一貫性には価値がある。だが、ニューヨーク、ロンドン、パリで機能するものが、ベンガルール、上海、ドバイで自動的に機能するわけではない。

アジアには、世界で最も成長の速い経済圏の一部、デジタルリテラシーの高い人口、多様な文化、急速に進化するワークプレイスが存在する。だからこそ、基準が生み出される場所の1つになるべきなのかもしれない。

グローバル投資に関しては、複数の物語が同時に成り立ち得る。米国は資本とイノベーションにおいて卓越した存在であり続けることができる。欧州は産業、エンジニアリング、テクノロジーの強みを維持できる。そしてアジアは、顧客、人材、製造、イノベーション、成長において、ますます重要になり得る。

資本は、企業が最も心地よいと感じる場所に単純に向かうわけではない。自社の未来があると信じる場所へ向かう。そして、そこに到達すると、問いはより人間的なものになる。どのような能力が必要なのか。その能力を実現する人材は誰か。その人たちが最高の仕事をするには、どのような環境が必要なのか。

なぜなら、資本が国境を越えるとき、事業戦略は場所の戦略になるからだ。そして場所の戦略はやがて、人とワークプレイスの問題になる。アジア投資の物語において、私たちが十分に語ってこなかったのは、まさにこの部分だと私は考えている。

(forbes.com 原文)

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