リーダーシップ

2026.10.21 09:37

熟達の心地よさを手放す――卓越したリーダーへの難しい道

Adobe Stock

Adobe Stock

多くのシニアリーダーは、何年も前から成長を止めている。関心を失ったわけでも、野心が尽きたわけでもない。単に居心地のよい場所にたどり着き、通常は失敗をしないため、安心して任せられる存在になっているのだ。

ギターでドリアンスケールに苦戦しながら、私はこのことについて考えていた。説明しておくと、私は独学で50年以上ギターを弾いている。人前でも演奏する。時には出演料をもらうこともあるし、曲の途中のソロパートで拍手をもらうことだってある。

数週間前、私はAIツールに自分のライブ演奏の録音を聴かせ、もっと上達する方法を教えてほしいと頼んだ。いくつかの修正点を提示される程度だと思っていた。しかし戻ってきた指摘は、独学のギタリストにありがちな演奏だというものだった。音数が多すぎ、全体的に安全に走りすぎている。記憶に残るリードを生み出すことよりも、ミスを避けることに集中しすぎている。完璧に知っている美しい音があるのに、そこに留まらずに通り過ぎてしまう。なぜなら、それが少し……そう、一般的ではないからだ。

スキルを広げるため、私はオンラインのギタープログラムに登録し、本格的な練習を始めた。ほぼ毎日20分間、新しいスケールをタブ譜通りに一音一音、6度や9度の音も含めて練習した。その後、30秒の動画を2本撮影して送り返した。AIが好んだのは、70音ある動画ではなく40音の動画だった。そして、40音の動画では「ギターを演奏している」が、70音の動画では「自分がギターを弾けることを周囲に証明しようとしている」と指摘された。

そこで私は、AIに恐ろしい真実を伝えなければならなかった。その40音は、洗練された判断の結果ではない。私が単に下手だからなのだ。30秒の間に6回も完全に手が止まり、指はタブ譜が指示する音ではなく、すでに知っている音に置き換え続けていた。正しい順番で7つの音を2回続けて弾くことすらできなかった。

私が学んでいる過程は、少なくとも最初は、下手になっているように聴こえたのだ。

「問題がない」ことと「すべてが正しい」こと

では、ギターを置こう。

あなたは何年もリーダーを務め、見事に成果を上げてきた。責任を問われるべき失敗を誰も指摘できない。あなたは「問題がない」という領域に到達したのだ。

スキルは反復によってもたらされるものであり、あなたにはその両方が十分にある。リーダーシップの学習は主に実務の中で行われる。それは直感、実際の行動、そしてその行動がもたらす結果を観察するプロセスだ。自分のコミュニケーションに対する人々の反応が良いと分かれば、よりコミュニケーションを取るようになる。素早い決断が良い結果をもたらすと分かれば、より決断力が増す。それが機能するからこそ、あなたはその役職に就いているのだ。

しかし、「優秀」から「偉大」へ、あるいは「問題がない」状態から「すべてが正しい」状態へと進みたいのであれば、私の練習した6度や9度の音に相当するものを練習する方法を見つけなければならない。それには既存のスキルを強化するのではなく、新たなスキルが必要となる。再び学び始めなければならないのだ。そして学習とは、一時的に実際よりも拙く見えることを受け入れる覚悟にかかっている。

評価の高いギタリストは何も間違えない。完全に無難だが、特筆すべき点もない。一方、ギターヒーローはその先を行く。ミスをしないだけでなく、楽器を真に躍動させる繊細なタッチや装飾を意図的に加える。現在のあなたというリーダーと、あなたがなり得るリーダーとの間にも同じギャップが存在する。そして、そのギャップを越えることは、現在の場所にとどまることよりもはるかに難しく、心地悪さを伴う。

安心して任せられる存在から、違いを生み出す存在へ変わるには、新しい行動を取り入れ、自身のパフォーマンスを観察しなければならない。つまり、部下に影響を与えるために、意識的かつ意図的にもう一歩踏み込むということだ。

1. 即座に問題を解決しようとするのをやめる。 アクションに飛びつく前に、何が起きているのかを本当に理解するために必要以上の時間をかける心地悪さを味わう。結果に大きな違いを生むニュアンスが見つかるかもしれない。

2. 「知っている」という感覚を手放す。 自分の前提を意識的に認識し、明るみに出して見直す。それを捨てる覚悟を持つ。

3. 先入観を手放す。 チームのメンバー、彼らをどのように定義し、どのように接しているかを見つめ直す。何か見落としがあるとしたらどうするか。それをどのようにして突き止めるのか。

4. 直属の部下の問題を代わりに解決するのではなく、コーチングを行う。

5. 自身の制約を検証する。 常にタブーとされてきたものを取り上げ、「どのような状況であればこれを行うか?」と自問する。

6. 自分でやると楽しい仕事であっても、他の人ができることなら権限委譲する。

何よりもまず、他人の仕事を代わりに行うのをやめることだ。自分にしかできないことで卓越した成果を上げることに集中し、同時に部下のレベルを引き上げる。

より困難な道

これらの新しい行動は今すぐ始めることができるが、そのすべてが「習熟している」という心地よい感覚に逆行する。自分自身や自身のスキルに対する確信が薄れることに慣れなければならない。

これは容易ではない。私は薬指でピッキングすることを学ぼうとしているが、まったく脳の指示に従ってくれない。完全に不器用になった気分だ。ソロのパートでミスをするのは、世間に聴かせたい演奏ではない。上達に取り組むよりも、すでにマスターしたことに逆戻りする方がはるかに簡単だ。

それがトレードオフだ。「より簡単な道」を取るか、「より優れる道」を取るかである。ほとんどのリーダーは、自分が選択をしたことにすら気づかずに、より簡単な道を選ぶ。そして、企業がそれを率いるリーダー以上に成長することはめったにないため、その無意識の選択が、そこで働く全員の限界を決定づけてしまう。より困難な道を選べば、まったく異なるメロディを奏でられるようになるかもしれない。

(forbes.com 原文)

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事