経営・戦略

2026.10.20 06:26

答えではなく「問い」を求めよ──テック幹部ディーナ・ビンガムが説く「逆方向」の思考法

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直感に反しているように見えて、完璧に理にかなっている主張──私はこうした意見にどうしても抗えない。惹きつけられ、探求してしまうのだ。そして時に、それがあまりにも明快で、追及せずにはいられなくなることがある。25年以上IBMの幹部を務め、企業のオペレーショナル・エクセレンスや変革の推進を支援してきたディーナ・ビンガムの話を最近聞いた時もまさにそうだった。一体どういうことだろうか。

私の興味を惹きつけた彼女の言葉とは何だったのか。なぜ私は、これほど直感に反する言葉にそれほど唖然としたのだろうか。

あらゆる業界でAI(人工知能)が議論の中心となっているような時代に、実績豊かなこのIT幹部は、拍子抜けするほどシンプルな真理を語った。「テクノロジーから始めてはいけない。そうではなく、解決したいビジネス上の問題から始めるのだ」

なんと……。

そう、それを消化するのに少し時間がかかった。しかし、単純な私の頭でも考え始めると、あまりにも明確になり、頭から離れなくなった。それは文字通り、壁に釘を打ち込む必要があるのに、昔ながらのハンマーを取る代わりに、最新式のコードレス電動ドライバーを使ってその問題(釘)に立ち向かおうとするようなものだ。

「これはレースなのです」とディーナは筆者に語った。「リーダーや組織は前へと猛突き進み、AIがテクノロジーの世界的現象だからという理由でそれを追いかけています。それは理解できます。確かに一種の現象ですから。しかし、本当のオペレーショナル・エクセレンスを達成するための解決策は、問題を解決するために技術的に最も進んだ選択肢を見つけることではありません。真の解決策は、ビジネス上の問題を正確に理解し、現在どのように業務が実際に行われているかを把握することから始まるのです」

インタビュー中、ビンガムは親しみやすい存在感と、結果志向の率直さという、独特で称賛すべき組み合わせを見せた。彼女が難しい問題に取り組むこと、あるいはそれ以上に業務プロセスをシンプルにする方法を見出すことを楽しむ人物であることは、すぐに伝わってきた。

「多くの企業が、ビジネスやオペレーション上の問題を解決するためにAIに目を向けています。しかし、目標がオペレーショナル・エクセレンスである場合、AIは常に正しい解決策なのでしょうか」と私は尋ねた。

ビンガムは私の質問に微笑んだ。単なる礼儀だったのかもしれない。しかしむしろ、漠然としながらも心から無知な私の問いを、過去に何度も答えてきた質問だと捉えたのだと思う。「トッド、あなたの質問は素晴らしいですが、不完全です」と彼女は笑顔のまま答えた。「何十年もの間、企業はオペレーション上の問題に対する解決策を自社の外に求めてきました。BPOプロバイダーへの業務委託もその一例です。いまAIによって、オペレーション上の問題をテクノロジーで解決しようとする動きはいっそう一般的になっていますが、その前に理解し、解決すべき根本的なビジネス課題に向き合わないまま進むこともあります。そして、そのアプローチの欠点が急速に明らかになっているため、すでに反転が始まりつつあると私は考えています。組織は、解決策を決める前に、仕事に人間をより近づけ、実際に見て、触れて、問題を真に理解する必要性を認識し始めているのです」

「つまり、バックギアを入れて後退する必要があるということですか」と私は尋ねた。

「前に進むためには、逆向きに考える必要があります」と彼女は答えた。「正しい質問をしているかどうかも定かでないのに、私たちは正しい答えを探そうとしています。だからこそ、その通り、解決したい問題まで一度引き返すのです。その問題を作り出した原因を真に理解するために遡るのです。そうして初めて、前に進み、どのようなテクノロジー(あるいはテクノロジーが不要か)が最適な解決策であるかを判断できるのです」

「例えば、多くのビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の関係は、AIが仕事の進め方を変える前に設計されました。当時は、経済性、テクノロジー、人材、利用可能な能力が現在とは異なっていました」とビンガムは説明した。

「その世界はすでに終わりました」

そしてビンガムは、自らが作成し、最近ホワイトペーパーで詳述したフレームワーク「ROOT Assessment」について説明し始めた。

「進むべき道を計画する前に、中心となる問いが2つあります」と彼女は言った。「第1に、もしAIの時代である今日、BPOオペレーションをゼロから設計するなら、同じように設計するでしょうか。おそらく、そうはしないでしょう」

第2の問いは、「待つことのコストは何か」である。どちらの問いも重要だ。ビジネス上の問題を理解し、正しい解決策を見極めるために時間をかけることは、誤った方向へ急いで進むよりも、はるかに費用が少なく済む可能性が高い。

なるほど、この言葉は完全に筋が通っている。同時に、今日の企業社会ではスピードが称賛されるため、多くのリーダーにとって少々受け入れにくいものかもしれない。

「では、競合他社に遅れをとっているように感じ、AIレースへの参入にプレッシャーを感じているリーダーや組織に対して、どのようなアドバイスを送りますか」と私は尋ねた。

ビンガムは再びにこりとした。私がようやく「正しい問い」にたどり着いたのは明らかだった。

1. 「あなたのAIに対する野心は、組織の準備態勢よりも先行していませんか」とディーナは問いかけた。「リーダーには、意識を『準備態勢』にシフトするようアドバイスしたいです。今日のAIツールを中心に組織を構築してはいけません。明日のAIは今日のAIとは異なるのですから、変化に適応できる組織を作り上げるのです」

2. 「あなたのデータはAIの準備ができていますか」と彼女は付け加えた。「AIは乱雑なデータを入力すれば、乱雑なデータを出力します。これは非常に重要です。AIがデータを素早く処理できるからといって、データの準備が整っているわけでも、ビジネス上の問題解決に近づいているわけでもありません」

3. 「テクノロジーによる解決策を前提とするのではなく、ビジネス上の問題から始めていますか」と彼女は続けた。「先ほども触れましたが、これは極めて重要です。あまりにも多くの組織やリーダーが、実際に解決すべきビジネス問題ではなく、テクノロジーに何ができるかということから考え始めてしまっています」

4. 「現場の人々を置き去りにしていませんか」とビンガムは尋ねた。「すべてのプロセスが完璧に文書化されているわけではありません。実際のステップや例外処理、回避策の多くは、現場で作業を行う人々の頭の中にしか存在しないのです。彼らを除外してしまうと、プロセスへの不完全な理解に基づいた解決策を設計することになりかねません。現場に最も近い人々こそが、どんなシステムやマニュアルも教えてくれないことを知っているのです」

5. 「正しい問いから導いていますか。それとも、最初に答えから導いていますか」とディーナは最後の問いとして付け加えた。「私はキャリア全体を通じて、正しい問いを発見することに注力してきました。リーダーや組織に何か助言できるとすれば、私が最も強調したいのはこの点です。本当のビジネス上の問題にたどり着こうとするなら、適切な人たちがその場にいる状態で、正しい問いを投げかけているかを確認してください。問題を真に理解すれば、正しい答えははるかに見つけやすくなります」

この会話を終えた後、私は注目すべきことに気づいた。私はこれまでのキャリアで、数千人のリーダーにインタビューし、しばしば最も難しいビジネス課題の答えを引き出すために質問をしてきた。ディーナ・ビンガムは、私がインタビューした中で、答えが一貫して問いの形で返ってきた唯一のリーダーである。それは私たち全員が学ぶべきリーダーシップ・スキルだろうか。私はそう思う。

(forbes.com 原文)

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