北米

2026.10.20 09:00

マスク、スペースX株を全米の子どもに1株ずつ贈与と発言──「ユニバーサル・ベーシック・キャピタル」とは

Kevin Dietsch/Getty Images

運用に疎い人には危うさも、売却できない株は一部銘柄を延命させる

UBCについては、特に株式の売買を認めるかどうかなど具体的な条件についての懸念の声も上がっている。ペンシルベニア大学教授でアンソロピックの経済諮問委員会メンバーでもあるイオアナ・マリネスクはPoliticoに対し、UBIのような現金給付ではなく、投資性のある資産を付与する手法は、投資の知識が乏しい人々にとって「よりリスクが高くなる」可能性があると指摘した。長期保有して複利で資産を増やすのではなく、目先の現金を得るために富裕層の投資家へ株式を売却してしまう恐れがあるためだ。

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逆に、いかなる理由でも株式の売却を認めない仕組みにした場合、特定の企業だけを優遇する結果になりかねない。米労働省の元チーフエコノミストであるベッツィ・スティーブンソンはPoliticoに対し、「もし絶対に売却できないOpenAI株を持たされたとしたら、OpenAIを永久に存続させることになってしまう。私としてはその株を売ってアンソロピック株を買いたいと思うかもしれないのに」と語っている。

シカゴ連銀の調査、経済学者はAI企業からの再分配より職業訓練を支持

また、シカゴ連銀が実施した調査では、経済学者らの多くはAIによる失業への対策として、UBIやAI企業からの税収の再分配といった広範な施策よりも、職業訓練のように対象を絞った施策を好む傾向が示された。

もっとも、個人への資産配分に肯定的な経済学者もいる。マサチューセッツ工科大学の経済学者デビッド・オーターはアトランティック誌に対し、たとえ一部の人が株式を手放したり、AI関連株が期待ほど上昇しなかったりしたとしても、あらゆる所得層の米国民に時間の経過とともに価値が上がる投資性資産を少しでも持たせることは、何もしないよりはるかに良いと指摘した。「これは私が『後悔のない政策』と呼ぶものだ。考えられるほぼすべてのシナリオにおいて優れたアイデアだと言える」

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米国人1人の個人データ、IT企業には生涯で約6222万円に相当

Web3 Foundationの調査によると、AI企業やハイテク企業はユーザーから莫大な利益を得ており、こうした結果はUBCを通じて一般の人々も業界の成功から恩恵を受けられるようにすべきだという主張を後押ししている。

同調査では、米国民の個人データがハイテク企業にもたらす生涯価値は1人あたり約39万3785ドル(約6300万円)に上り、インフレ調整後では83万ドル(約1億3300万円)を超えると試算された。調査報告書の著者らは、「個人データが現代経済において最も価値のある資源の1つであるならば、それを生み出している人々はもはや受動的な原材料として扱われるべきではない」と記している。

AIを理由とする人員削減、2026年は9月までで12万人超

再就職支援会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスの分析によると、年初から9月までにAIが原因で失われた雇用はすでに12万136件に達しており、今年の人員削減の最大の要因となっている。2025年通年では、AIに起因するとされた雇用の喪失は約5万5000件にとどまっており、その数は急増している。

(forbes.com原文)

翻訳=江津拓哉

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