カリフォルニア州知事は「施しより所有」を訴え、サンダースは富の再分配を主張
ニューサムは今年5月のイベントで、有権者は資産形成を軸としたモデルを「求めている」と主張し、「我々に必要なのは慈善事業ではなく、所有権、すなわちユニバーサル・ベーシック・キャピタルだ。経済を民主化しない限り、民主主義を救うことはできない」と語った。
サンダースも6月にニューヨーク・タイムズへ寄稿の中で新たなAI税の構想を発表し、富を米国民に再分配する概念を訴えた。その中でサンダースは、富を共有するモデルを導入すれば「AIが生み出す可能性のある何兆ドルもの富が、世界で最も裕福な人々をさらに豊かにするためだけでなく、我々全員の生活を向上させるために使われることが保証される」と主張している。
なお、サンダースはこれ以前にも、AIによって職を奪われた労働者への還元を目的としたAI企業に対する「ロボット税」や、企業に対して自社株のかなりの部分を労働者へ付与するよう義務づける構想を提案していた。
民主党進歩派は懐疑的、富豪たちは本当に負担に応じるのか
このほか、民主党のイルハン・オマル下院議員(ミネソタ州)やボニー・ワトソン・コールマン下院議員(ニュージャージー州)らも、国民に一定の所得を保障するUBI推進法案を提出している。ただ、こうした政策を支持する民主党議員の多くは、マスクやアルトマンといったハイテク業界のリーダーたちが最終的に協力するかどうかについて懐疑的な意見を持つ。アレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(ニューヨーク州)は4月、ニュースメディアのSemaforに対し「こうした構想を維持するにはAIを課税対象にする必要があるが、彼らがそれに必要な税金をみずから進んで負担するとは思えない」と語り、ワトソン・コールマンも、富豪たちが賛同しているのは「慈善の精神からではなく、ビジネス上の都合からだ」との見方を示した。
保守派からも賛同、大統領元側近はAI各社に株式の半分を吐き出させよと迫る
トランプの元側近であるスティーブ・バノンはワシントン・サン紙に対し、トランプ政権とOpenAIの協議を評価しつつも、企業側に有利な取り決めを結ぶのではなく、AI企業に巨額の税を課すべきだという点ではサンダースに同意した。バノンはニュースサイトのNOTUSに対し、政府はAI企業から「端金を受け取るのではなく、株式の50%を吐き出させて米国民に分配すべきだ」と語っている。
資産家への反発を抑える「現実的な解決策」、トランプ口座に期待
一方、ラマスワミはニューヨーク・タイムズへの寄稿で、政府が支援する投資ファンドは富裕層に対する社会的な不満を抑える「現実的な解決策」になると主張した。複利によって資産が増えていけば、人々は「富裕層を糾弾する代わりに、みずからが富裕層になる道を歩むことになる」ためだという。ラマスワミは政府の「トランプ口座」を「前向きな第1歩」と評価している。この制度は共和党のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)らが議会で成立を主導したもので、クルーズは同ファンドによって「米国のすべての子どもが複利成長の奇跡を体験できる」と述べていた。
市場原理で公的手当てを置き換え、連邦の福祉から「乳離れ」を目指す
伝統的に政府の支援策に反対してきた共和党にとって、こうした制度の魅力は、資本主義の仕組みを利用して他の政府給付金を代替できる点にあるようだ。クルーズは「トランプ口座」が社会保障の新たな形になり得ると示唆しており、ラマスワミも同様に、こうした投資口座がいずれ他の政府給付金に取って代わり、人々が「連邦政府による福祉国家から自立する」手段になると主張している。また、政府が支援する投資ファンドという概念自体は、子どもたちの成長とともに複利で増える投資口座を与える案を支持してきたヘッジファンドマネージャーのビル・アックマンなど、トランプに近い富豪たちからも支持されている。


