新CEOジョン・ターナスは、ジョブズのような革新を起こせるか
スティーブ・ジョブズはMac、iPodとiTunes、iPhone、App Store、iPadを生み出し、新たな市場を次々と切り開いた。当時のアップルは、1つのヒット商品が会社全体を変えられる規模だった。2026年9月1日にCEOに就任したターナスは、iPadやAirPodsの市場投入に携わり、Macでアップル独自の半導体への移行を主導したとテッククランチは伝えている。
アップルが現在の株価評価を正当化できるほど成長するかについては、強い疑問がある。ターナスはクックより製品開発を重視する経営者だ。だが米誌フォーチュンは、技術者として信頼を得ているものの、ジョブズのような構想力を欠くと評している。ブルームバーグの報道では、クックより決断力がある人物と評価された。
Vision Pro程度の新製品では、全社業績を変えられない
成長を取り戻すには、年間売上高4660億ドル(約73兆6280億円)のアップル全体の業績を大きく押し上げる新製品が必要だ。2024年の売上高が17億5000万ドル(約2765億円)と予測されたApple Vision Pro程度の製品では、業績への影響はほとんど表れない。
約790兆円の評価を支える、自社株買いなど4要因
アップルの時価総額5兆ドル(約790兆円)を支えている要因は4つある。第1は自社株買いだ。同社は過去9カ月で621億ドル(約9兆8118億円)を株式の買い戻しに使い、希薄化後の発行済み株式数を1.6%減らした。さらに、1000億ドル(約15兆8000億円)の追加自社株買いを承認している。
第2は現金を生み出す力だ。アップルは過去9カ月に1170億ドル(約18兆4860億円)の営業キャッシュフローを生み出した。米国債利回りが5.2%前後にある状況で、借金に頼ってAIデータセンターを建設する企業への投資を不安視する投資家にとって、アップル株は資金の逃避先となっている。
インデックス資金の流入と、事業の安定性への期待
第3は指数連動型のパッシブ投資だ。S&P500指数に連動する上場投資信託「SPDR S&P 500 ETF」では、エヌビディア、アップル、マイクロソフトの構成比率の合計が最近、過去最高の21.7%に達した。S&P500指数に連動するファンドへ資金が流入すれば、株価の割高・割安に関係なくアップル株が自動的に買われる。
第4は、アップルの事業規模、ブランド力、現金創出力に加え、AI関連の設備投資への依存度が低いことだ。投資家は事業の急成長ではなく、アップルが長期にわたって事業を維持できる強さに割増価格を払っている。
毎年の時価総額首位銘柄を選べば、市場平均に勝てるのか
アップル株の保有者は高いリターンを得てきた。しかし過去のデータでは、毎年、その年の時価総額が最大の銘柄を選んで保有する投資戦略は、平均的な銘柄への投資に成績で及ばなかった。金融学者のヘンドリック・ベッセムビンダー教授によると、1971~2025年の年平均リターンは、時価総額首位銘柄を選ぶ戦略が7.71%、S&P500の構成銘柄の平均が11.3%だった。
個別銘柄とS&P500連動型ファンド、どちらを選ぶか
アップル製品を日常的に使い、手放しにくいことと、アップル株が資産運用に適した投資先かどうかは別問題だ。どうしても個別株に投資するなら、エヌビディアは高い株価評価を正当化できるほど急成長している。
ただし、フアンがCEOを退けば、エヌビディア株の価値は下がるだろう。したがって、投資家にはS&P500連動型のインデックスファンドのほうが適しているかもしれない。


