世界人口の20%がアップル製品でAIを使うという強気予測
アップルが成長しているのは確かで、強気派のアナリストはアップル製品の利用者にAIサービスを提供する事業に商機を見いだしている。アップルの2026年度第3四半期決算では売上高が16%増加した。iPhoneの売上高は22%増、Macの売上高は29%増、1株当たり利益は29%増だったと四半期資料は示している。
米証券会社ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブスは2026年5月、アップル株の目標株価を400ドルへ引き上げた。株価には17%の上昇余地があるとの見方だ。アイブスは、世界人口の20%がアップル製品を通じてAIを利用するようになると予測している。iPad、Mac、Apple Watch、AirPods、Vision Proが緊密に連携する製品群を通じて、AIサービスが提供されるとの見立てだ。アイブスの予測では、AIサービスがアップルに150億ドル(約2兆3700億円)の追加売上高をもたらす。ただし、直近12カ月のアップルの売上高4660億ドル(約73兆6280億円)と比べれば、追加分はわずか3%だ。
強気論を支える別の材料は、音声アシスタント「Siri」でグーグルの生成AI「Gemini」を利用するライセンス契約である。アップルは自前のAIデータセンター建設に必要な数千億ドル(数十兆円規模)の投資を避けられるため、米金融市場は資本を慎重に使う経営を評価している。
関税還付で利益を押し上げたアップル、次期売上高の伸びは9~11%
アップル株の割高感を示す材料は、一時的な利益の押し上げ、売上高成長の鈍化、高い株価評価である。直近四半期の売上総利益率50.1%のうち、約2ポイント分は一時的な関税還付によるものだった。1株当たり利益にも、同じ還付によって11セントが上乗せされた。
アップルは2026年9月期の売上高成長率について、9~11%へ大幅に低下するとの見通しを示した。2026年度第3四半期決算説明会で明らかにした予想だ。
株価は業績に先行、PERは41倍超
アップルの株価上昇は利益の伸びを大きく上回っている。時価総額が取引時間中に初めて5兆ドル(約790兆円)へ達した際、株価収益率(PER)は41倍を超えた。米誌フォーチュンによると、2013~2020年に記録した最高PER20倍の2倍を超える水準だった。
2024年初めからアップル株は約2倍になったが、過去12カ月の利益は約25%しか増えていない。将来の利益予想を基にした予想PERは35倍で、マイクロソフトの24倍やグーグルの親会社アルファベットの23倍を大幅に上回る。両社の売上高成長率は、それぞれ17.8%、24%とアップルより高い。成長の速い両社より、アップル株のほうが高い予想PERで取引されているのは意外だ。


