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経営・戦略

2026.10.26 07:00

iPhone「ゴリラガラス」のコーニング、AI特需でも株価100分の1の悪夢を忘れない

maurice norbert - stock.adobe.com

通信バブル崩壊の記憶、株価は約100分の1に暴落

コーニングが過去数十年で最も好調な年を迎える中でも、経営の不安定さを思い起こさせる出来事があった。2026年上半期に株価が200%近く急騰した後、7月には50%急落した。

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主なきっかけは、株価上昇で割高となった企業評価と、膨らむAIバブルに対するアナリストの懸念だった。1983年に入社し、1996年に光ファイバー事業の責任者となったウィークスにとって、過去の苦い経験を思い出させる値動きだったはずだ。

1990年代末から2000年代初めにかけては、インターネットの急成長に伴う通信網の建設が数十年にわたり続くと、多くの人が信じていた。コーニングは多額の借金を重ね、企業買収に100億ドル(約1兆5800億円)を投じた。

ところが2001年に通信バブルが崩壊すると、通信機器メーカーのノーテルをはじめとする主要顧客からの光ファイバーの注文が突然途絶えた。コーニングの株価は2年足らずで113ドルから1.10ドルへと暴落した。

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2005年にCEOに就任したウィークスは、「就任時の会社はかなり暗い状況にあった。ドットコム・バブルの崩壊が多くの顧客に壊滅的な打撃を与えた後だった」と振り返る。「久しく実施していなかった大規模な人員削減に踏み切り、経営を立て直さなければならなかった。会社の使命は何か、何を目指し、どうすればもっとよい会社を築けるのか、深く考える必要があった」。

液晶テレビとゴリラガラスが経営危機からの復活を支えた

コーニングを経営危機から救ったのは、材料科学の分野で蓄積してきた数々の発明だった。最初の転機は、同社製のガラスを使った超薄型の液晶テレビが2000年代初めに大量に売れ始めたことだ。

続いて、1960年代に開発されたゴリラガラスが大ヒット商品になった。2006年末、アップルのスティーブ・ジョブズがウィークスを説得し、2007年6月のiPhone発売に向けて、傷が付きにくい小型の画面用ガラスを数百万枚生産することになった。

さらに、乗用車や軽油(ディーゼル)を使うトラックの排ガス浄化フィルター、医療用の特殊ガラス、テレビやノートパソコン向けの薄型ガラスなども、新たな収益源となった。

コーニングが光通信以外に求める次の収益源は何か

かつての通信バブル期と同様に、2026年は光ファイバーがコーニングの成長を牽引している。同年上半期の売上高86億ドル(約1兆3600億円)のうち、45%が光ファイバーによるものだった。

ウィークスは需要の拡大が今後数年続くと考えている。それでも、以前のような経営の急失速を繰り返すことはないと強調する。通信バブル崩壊の経験から、事業の多角化に力を注いでいるためだ。

新たな構想には、自動車メーカーにゴリラガラス製のフロントガラスを採用してもらうことがある。価格は高くなるものの、ひび割れや飛び石による損傷に強く、フロントガラス自体の重量も大幅に減らせる。

太陽光パネルに必要な材料と製品を、米国内の工場ですべて生産する構想もある。具体的には、多結晶シリコンを固めた「インゴット」、薄く切った「ウエハー」、光を電気に変える「太陽電池セル」、セルを組み合わせた「モジュール」までを供給する。現在、こうした部材と製品のほぼすべてがアジアでつくられている。

次ページ > 研究開発と企業間の提携が、次の製品を生み出す

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