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2026.10.22 14:45

ラグジュアリーと相性のいい「ツール」とは?

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ツールの選択について、真っ先に浮かぶのはソフトウェアよりも紙のことです。

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小さい頃、私のお気に入りの「キャンバス」は、裏面が白い折込みチラシか、レストランの紙ナプキンでした。自由帳や画用紙よりも気兼ねなく自由にイメージを膨らませて絵を描くことができました。その習慣が体に染み付いてしまったのか、いまでも罫線つきよりも無地のノート、さらにいえば綴じたノートよりもA4のペラ紙の方がアイデアを出しやすく感じています。

つまり、「線が既に引かれた空間に安心感がもてる」という傾向とは逆の「枠のない空間」あるいは「枠外のスペース」に居心地の良さを感じているのかもしれません。線や枠があると、フォーマットの方を意識してしまうのです。私には、書き散らしたペラ紙をあとでファイリングする──先に出し切って、あとから整える——というやり方が性に合っているようです。

しかし、「デジタルよりもアナログか」というと、そういうことでもありません。どちらかというと、自分にとって大事なのは整理する前のいろいろなものを置いておける「机」的スペースであり、それはデジタル作業空間にも存在しているように感じています。

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仕事柄、アドビ系のソフトウェアで置き換えてみると、おそらくグラフィックデザイナーにとっての「ワード」的存在は、Adobe Illustrator、略して「イラレ」と呼ばれるソフトになると思います。イラレの画面はキャンバスの外のスペースが大きく、下書きや参考画像、写真素材などを横に置いておくことができます。清書用の白紙の横に、スケッチや素材を並べて置いておくようなイメージです。私の場合、イラレでの作業はこの枠外のスペースですることが多く、デザインが固まってきて初めて、キャンバス内に移動させています。

ちなみに文字を書くときはというと、原稿の最終形式はワードですが、ワードにはこの「枠外」のスペースがないので、今は「iPhoneのNotesアプリで思いつくままメモ」、「手書きのノートで構成」、そして「ワードで清書」と使い分けることで、アプリの外に机的空間をつくっています。もっと効率的なやり方がないか、模索中です(笑)。

少し話がずれるしれませんが、「まず言葉を自分の口から出してみる」という安西さんの言葉で思い出したのは、先月、私が共同運営しているポッドキャスト「Snacks for Thought」の展示イベントで、デザインエンジニアの緒方壽人さんと「わかるとつくる」について話したときのことでした。

このトークの発端となったのは、『わからないものをつくる』という緒方さんのnote記事。緒方さんはその一節で、「わかる」とは、自分の内的世界と現実世界に齟齬がなく、考えないでいられることであり、「つくる」とは、自分の内的世界と現実世界の間の小さな齟齬や違和感を見過ごさず、頭の外に出してみること、と書いていました。

わかるからつくるのか、つくるからわかるのか。鶏と卵のような問いですが、私が面白いと感じたのは順番よりも、つくるうちに思い描いていたものとは別のものになっていく、ということでした。

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文=安西洋之(前半)・前澤知美(後半)

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