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2026.10.22 14:45

ラグジュアリーと相性のいい「ツール」とは?

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長い間、ヨーロッパと日本のビジネス文化の違いを、ふたつのアプリケーションソフトをもってぼくは語ってきました。「ワード」と「パワーポイント」です。

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この原稿もそうですが、ワードは文章を書くために多用され、パワーポイントはプレゼンの資料として活用されるものと思っていました。しかし、1990年代半ば頃から、ヨーロッパと日本でこのふたつのソフトの使用頻度と使われ方が圧倒的に違うことに気がつかされます。

ヨーロッパでは、何かを企画する際、ワードで文章を連ねることで思考がはじまり、パワーポイントはあくまでも他人に説明するためのツールです。米国で誕生したときの基本コンセプトは、そうであったはずです。しかし、日本では企画書でのワードの利用が低く、パワーポイントにチャートやキャッチフレーズが書かれている。この差異が語るところは大きいです。

はじめに言葉ありきであることが、はっきりとワード活用には見えます。しかも自らの思考を細かく辿るためであり、仲間の心に一気に響く一言を探し求めるものではないのです。

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そうした違いのなかで、もう一つのアプリケーションソフトが日本のビジネス現場で大活躍しはじめていました。表計算ソフトの「エクセル」が数字や計算とはまったく関係のない、スケジュールやプロセスの管理に使われるのがヨーロッパの現場にいる人間にとっては違和感をもちました。もちろん、およそ30年の年月を経てヨーロッパにおける変化もありますが、それでもエクセルをA4サイズに想定して区切った請求書などあまり見た覚えがありません。

ぼく自身は、このエクセルを「あまり見たくないもの」として扱ってきました。そして最近、ぼくの「パワーポイントの多用は日本文化」と同じように、「エクセルの多用は日本文化」と友人が考えているのを知りました。ミラノ大学で東洋美術史を教えるロッセッラ・メネガッツォさんです。昨年、大阪・関西万博のイタリア館の文化ディレクターとして大活躍した方です。

この9月、立命館大学デザイン・アート学部教授の井登友一さんが学生たちを連れてミラノ大学を訪れた際、メネガッツォさんがエクセルに言及したことを井登さんがnoteに書いていたのです。彼女がエクセルに違和感を抱いていたのはぼくと同じとしても、それをワードの対立軸においていると知り、「なるほど!」と思わず膝を打ちました。

彼女はエクセルを通じて、ぼくとは違う世界を見ていたのでしょう。さらにいえば、ぼくが趣味として合わないと思っていた部分に日本文化の特徴を見ていたに違いないです。

メネガッツォさんと本テーマで深い議論をしたわけではないので、あえて彼女には解釈を聞かず、ヨーロッパ人の日本文化観をぼくが仮説的に想像してみます。

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文=安西洋之(前半)・前澤知美(後半)

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