莫大な支出は回収できるか──マイクロソフトとグーグルに需要の手応え
ここからが難しいところだ。この支出は、リターンを生んでいるのだろうか。これまでのところ、判断材料はまだまちまちだが、状況は良くなりつつある。マイクロソフトは2026年に入って、AI事業の売上高が年換算(直近のペースが1年続いたと仮定した金額)で370億ドル(約5兆8460億円)を超え、前年の2倍以上になったと発表した。Google Cloudの受注残(契約済みで、まだ売上高に計上されていない金額)は、4600億ドル(約72兆6800億円)超にまで膨らんだ。こうした数字は、投機的にインフラを作っているだけではなく、顧客の需要が実際にあることをうかがわせる。
例外はメタである。メタはクラウドの計算能力を外部に販売していないので、AIへの投資は、広告のターゲティングの精度や、利用者の関与(エンゲージメント)を高めることを通じて、間接的に回収するしかない。同社が4月に支出の見通しを引き上げた際には、株価が大きく下落した(訳注:メタは米国時間9月8日にAIエージェント「Muse」を公開し、原文の掲載後の10月12日には、開発者向けのAPIや有料のコーディング向けサービス「Muse Code」を通じて使える新しいAIモデル「Muse Wonder」を発表した。広告を介さずにAIで収益を得る道も探り始めているが、その成果が決算に表れるのはこれから)。
キャッシュフローが最大の懸念、巨大IT企業が借入にも頼る資本集約型へ
投資家が最も注意して見るべきリスクは、キャッシュフロー(現金の出入り)である。大手ハイパースケーラーの設備投資は、2026年には営業キャッシュフロー(本業で稼いだ現金)のほぼすべてを使い切ると予想されている。いずれも史上屈指の高収益企業なので、それだけの支出には耐えられる。だが、企業としての性格は変わる。
これまで、大きな設備を持たずに現金を次々と生み出すビジネスモデルで高く評価されてきた企業が、巨額の資本を必要とするインフラ事業者へと変わりつつあるのだ。こうした変化は、投じた資本から並外れたリターンが得られない限り、時間とともにバリュエーション倍率(株価が利益などの何倍まで買われているかを示す指標)を押し下げる傾向がある。しかも、支出の一部は借り入れでまかなわれている。これらの企業にとっては新しい動きであり、金利が上がるほど、その負担は重くなる。


