ここ数年、製品説明に「AI搭載」と書き加えることは強みだった。新しさをアピールし、人々の関心を引きつけ、一部のカテゴリーでは従来の見慣れた製品を新鮮に感じさせた。だが、新しさの半減期は短い。
AI製品、成長戦略、製品ローンチに携わる中で、私はあるパターンに気づき始めた。この技術は、ユーザーがそれを意識しなくなった瞬間に最大の価値を発揮することが多い。「AI搭載」という言葉は、いまでも最初のクリックを獲得できるかもしれない。しかし好奇心が薄れれば、投げかけられる問いは平凡なものになる。これで時間は節約できたか? 難解な作業が簡単になったか? 明日もまた使いたいと思うか?
ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の調査報告書「Americans and AI 2026(アメリカ人とAI 2026年)」によると、2026年2月に調査に応じた米国の成人の49%がAIチャットボットを利用したことがあり、2024年の33%から増加した。人々は新しいからという理由で技術を試すかもしれないが、製品を使い続けるのは、それが役に立つからだ。だからこそ私は、最も強いAI企業は今後、AIそのものを製品として扱うことを次第にやめていくと考えている。競争の軸は、よりなじみのあるものになる。すなわち、顧客の課題をよりよく解決できるかどうかである。
「機能」から「成果」へ
AI製品のポジショニングにおいて私がよく目にする最大の過ちの1つは、技術に寄り添いすぎた状態からスタートすることだ。技術的に困難なものを何カ月もかけて構築した後、チームがエージェントやマルチモーダルモデル、推論能力について語りたくなる気持ちはよくわかる。製品に密着していると、内部の高度な仕組みこそが語るべきストーリーに思えてしまう。
しかし、ユーザーの捉え方は通常異なる。朝起きて「自立型のワークフローが欲しい」と思う顧客などいない。顧客が望んでいるのは、文書をより早く理解すること、キャンペーンを制作すること、より良い意思決定を下すこと、あるいは何時間もの単純作業をなくすことだ。価値提案がユーザーではなくシステム側から始まると、技術的に素晴らしい機能であっても説明が難しくなるケースを見てきた。成果が明確であれば、よりシンプルなアプリケーションの方が魅力的に感じられるものだ。
問いは「あなたのAIには何ができるのか」から、「以前は難しかった、遅かった、あるいは不可能だったことのうち、私は今何ができるようになるのか」へとシフトする。
AIは摩擦を減らすべきだ
価値を実感するためにユーザーに多大な労力を強いるAI製品に対し、私はより懐疑的になっている。プロンプト作成に長けなければならなかったり、出力を何度も修正しなければならなかったり、モデルの仕組みを理解しなければならなかったりするなら、その技術がどれほど高度であれ、製品としてはまだ発展途上だ。
最高の状態において、AIは複雑さをユーザーに送り返すのではなく、複雑さを自ら吸収すべきである。2025年12月にガートナー(Gartner)が米国の消費者846人を対象に実施した調査では、最近買い物中にAIを利用した人のうち、54%が生成AIツールが提供したすべての情報を再確認する必要があったと回答した。また、62%がそうしたツールからの情報によって最終的に時間を無駄にしたと述べている。
私は現在、次のような問いを頻繁に自分に投げかけている。「AIの処理が終わった後、ユーザーはどれほどの作業をしなければならないか?」。もし答えが「かなりの量」であるなら、効率化のいくらかは錯覚にすぎない。だからこそ、私は鮮やかなデモと優れた製品を混同してはならないと学んだ。デモは驚きを最大化できるが、製品は繰り返しの使用に耐えなければならない。20回目の使用になれば、人々は一貫性、コントロール性、スピード、そして結果が自らのワークフローに適合するかどうかを評価するようになる。
優れたAIほど目立たない
すべてのAI製品が新たなチャットボットになる必要はないと私は思う。私が最も魅力的だと感じるAI体験のいくつかは、インターフェースが示唆する以上の処理をバックグラウンドで行っている。それらは重要な要素を特定し、ワークフローをパーソナライズし、あるいはユーザーにすべてのステップを管理させることなく次のアクションを推奨してくれる。
デロイト(Deloitte)の「2025 Connected Consumer Survey(2025年コネクテッドコンシューマー調査)」では、調査対象となった生成AIユーザーの61%が、使い慣れたソフトウェアやサービスに組み込まれたAI機能をすでに利用していることが分かった。AIには必ずしも独立した目的地が必要なわけではない。「どこにAIを追加できるか?」という問いは、間違った出発点であると私は強く感じるようになっている。より良い問いは、「知性(インテリジェンス)によって、どこで意思決定、遅延、不要なステップを排除できるか?」だ。前者の問いは技術から始まり、後者の問いはユーザーから始まる。
「成果優先」のAI製品を構築する
AI製品やポジショニングを評価する際、私はシンプルなテストを行う。製品説明から「AI」、「エージェント」、および基盤となるモデルの名称を削除してみるのだ。それでも価値提案は魅力的に映るだろうか? もし魅力的でないなら、その製品は新しさに過度に依存している可能性がある。
成果優先のAI製品は、3つのことを明確にすべきだ。何が容易になるのか、新たに何が可能になるのか、そしてなぜユーザーがその結果を信頼すべきなのか、である。ユーザーがより多くの意思決定をAIに委ねるようになるにつれ、信頼の重要性は高まる。ピュー・リサーチ・センターの報告書によると、米国の成人の71%がAIの利用拡大により個人情報の安全性が低下すると予想しており、59%は米国企業が責任を持ってAIを開発・利用することに自信を持てないと答えている。
ユーザーがAIを意識しなくなったとき、AIは勝利する
デザイン分野での私の経歴は、AI製品に携わる以前からこの点に関する考え方を形成してくれた。優れたデザインが、体験の裏側にどれほどの複雑さが潜んでいるかを理解するようユーザーに求めることは滅多にない。ユーザーは結果を感じ取るのだ。優れたAI製品も、最終的には同じように機能するようになると私は考えている。
過去数年間、企業は自社がAIを有していることを証明しようと競い合ってきた。次の競争はより厳しいものになる。それは、AIが自社製品を実際に優れたものにしているかを証明することだ。勝利する企業は、必ずしもAIについて最も声高に語る企業ではない。知性を「摩擦の削減」「より良い意思決定」「より強固な信頼」「より明確な成果」へと昇華させられる企業なのだ。
そしてそれが実現したとき、最も成功したAI製品とは、ユーザーが最初に気づく要素がもはや技術ではないような製品かもしれない。なぜなら、それは単に当たり前に機能するからだ。



