欧州

2026.10.19 07:00

ロシアの製油所やデータセンターへの攻撃は、本当にウクライナの勝利につながるのか

Photo by Nicolas Economou/NurPhoto via Getty Images

戦争の長期化はウクライナの和平交渉を不利にするのか

ロシア国内に一時的な混乱を起こすことと、戦争終結に向けてウクライナが交渉力を高めることには、大きな隔たりがある。米政府が自国の燃料価格を抑えるためにロシア産軽油の取引制限を緩和し、欧州もロシア産北極圏LNGの購入を続けている。ウクライナ政府への批判派は、長引く消耗戦によって、ロシアよりも速くウクライナの交渉上の立場が悪化していると主張する。

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10月10日、トランプは「ウクライナに新たな大統領が必要な時だ」と発言した。イーロン・マスクは「ゼレンスキーはやり過ぎた」とXに投稿し、トランプの発言を広めた。同じ日、ウクライナの実業家で元国会議員のヴァディム・ノヴィンスキーは、ゼレンスキーに辞任を求めるとともに、ウクライナ議会に対してロシア政府へ交渉団を派遣するよう求める声明を出した。

制裁対象の元議員ノヴィンスキー、2022年の和平を巡り政権を批判

ノヴィンスキーは企業グループSmart Holdingの創業者で、ロンドン上場の石油・ガス会社Enwell Energyの事業を支える中心人物でもある。Enwell Energyがウクライナで保有するガス採掘許可3件は2024年後半から停止されており、2026年第3四半期のガス生産量はゼロだった。ロシア軍の攻撃でウクライナの天然ガス施設が被害を受け、国内生産が減少して冬に向けた輸入が計画されている中での生産停止だ。Enwell Energyは採掘許可の停止を不服として、ウクライナの裁判所と国際仲裁で争っている。

ウクライナ政府は2022年12月にノヴィンスキーを制裁対象とし、2025年1月には検察当局が国家反逆と宗教的憎悪の扇動の容疑を本人不在のまま通告した。ノヴィンスキーは容疑を否定しており、2022年からウクライナ国外で暮らしている。ノヴィンスキーは、2022年春にイスタンブールで進められた和平交渉の調整に関与したと説明した上で、ゼレンスキーが当時、戦争を終わらせる機会を逃したと主張した。

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「現在、どのような和平条件も、イスタンブールで提示された条件よりウクライナに厳しくなると認識しなければならない」と記した。ウクライナが失った「数百万人の国民、数千平方キロメートルの領土、産業分野そのもの」を「取り戻せない損失」とも表現した。ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、ワシントンからの大統領交代要求に反論し、国を統治する人物を決められるのはウクライナの有権者だけだと述べた。

ロシアに損害を与えるだけでは、ウクライナの勝利に結び付かない

ゼレンスキー政権を批判する人々の政治的主張に同意するかどうかとは別に、ウクライナのインフラ攻撃が浮き彫りにした構造的な難題は無視できない。リャザンの製油設備やヤンデックスのデータセンターへの攻撃は、ウクライナの無人機がロシアの奥深くまで届くことを示し、ロシア企業に現実の財務的損失を与える。

しかし、エネルギー施設への攻撃は米政府による対ロシア制裁の緩和を招き、デジタル施設への攻撃では処理が数時間で別のクラウドへ移される。ウクライナの送電網や産業基盤がさらに大きな被害を受ける状況では、ロシアに損害を与えるだけでは勝利への戦略にならない。ロシアが支払う代償を増やすことは、ウクライナが勝利を収める現実的な道筋、少なくとも消耗戦がもうひと冬続いた場合より有利な和平条件を得る道筋と結び付いて初めて、交渉の切り札となる。

(forbes.com 原文)

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