欧州

2026.10.19 07:00

ロシアの製油所やデータセンターへの攻撃は、本当にウクライナの勝利につながるのか

Photo by Nicolas Economou/NurPhoto via Getty Images

データセンターが損傷しても、運営者は処理を数時間で移転できる

正規のクローラーと確認されていない自動プログラムも、ヤンデックスのクラウドで稼働していた。しかし、10月8日の障害の直後には、RadistやSelectelといったロシアの別のサーバー提供事業者の設備から同じプログラムによる通信が再び確認された。通信相手の種類を識別する手掛かりとなる「TLSフィンガープリント」も、アクセス先の経路や通信に付随するヘッダー情報も一致していた。

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クラウドフレアの研究者は、建物やサーバーなどの物理設備は簡単に移せなくても、そこで動いていた処理は数時間で別の施設に移転できると指摘する。ヤンデックスも、顧客がデータとアプリケーションを速やかに移せるよう、競合するクラウド企業が受け入れに同意したと説明した。

SNSの発信活動も銀行機能も維持、軍の指揮網や兵器製造は止まらず

インターネット上の情報操作などを分析するGraphika(グラフィカ)の別の調査でも、拡散した主張で名指しされた西側のオンラインコミュニティーに、活動停止の兆候は見つからなかった。AfD支持層から、米国第一主義を掲げるMAGA支持層まで、活動中のアカウントも投稿数の多い発信者も失っていなかった。

ズベルバンクも、銀行システムとオンラインサービスは通常通り稼働を続けたと説明している。データセンターや空港周辺への攻撃が、ロシアの都市に経済的損失と心理的な不安を与えることは確かだ。それでも、ロシア軍の指揮・通信システムを止めたり、無人機やミサイルの製造を停止させたりするには至っていない。

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ロシアとウクライナではインフラ攻撃による被害の重さが大きく異なる

ウクライナの戦略が抱えるさらに深刻な問題は、攻撃を受け止める力が両国で大きく異なることだ。ウクライナの無人機はロシアで燃料の供給障害やクラウドシステムの一時的な移転を引き起こしたものの、ロシア側は対処できている。

発電・物流・製鉄に大打撃、2026年の損害は約1兆5800億円の見込み

これに対し、ロシア軍のミサイルや無人機による攻撃で、ウクライナでは発電能力の80%超と食料の輸送・流通を支えるインフラの約90%が破壊・損傷したと、同国の閣僚は説明している。英紙フィナンシャル・タイムズによると、ウクライナの鉄鋼生産量の90%を占める、国内に残る主要製鉄所3カ所も操業不能となった。被害に関する推計はRussia Mattersがまとめている。

ウクライナ経済省は、ロシアの攻撃による2026年の損害額が約100億ドル(約1兆5800億円)に達すると見込む。欧州復興開発銀行(EBRD)は2026年のウクライナの経済成長率予測を1.5%に引き下げた。ゼロ成長を予測するエコノミストもいる。

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