ヤンデックスとズベルバンクに被害、モスクワの空港も混乱
製油所への攻撃に米政府が反発する中、ウクライナは国際的な燃料需給に影響しにくい施設にも攻撃を広げた。標的となったのは、ロシア企業の活動や一般市民の生活を支えるデータセンターなどだ。10月8~11日にサソボ、カルーガ、ウラジーミルにあるヤンデックスのデータセンターが攻撃され、同社のデータセンターの半数が停止した。
ヤンデックス・クラウドは顧客に対し、稼働中のシステムやデータ処理を別の施設に移すよう求めた。利用者からは、配車、決済、ナビゲーションの各サービスで障害が起きたとの報告が寄せられた。モスクワ証券取引所では、最初の2回の攻撃を受けてヤンデックス株が約3%、続いて約4%下落した。
10月14日未明には、無人機がズベルバンクのバラコボにある建設中の施設を攻撃した。建設中の施設は面積5万5000平方メートルで、ロシア国営メディアは2027年から国内最大のスーパーコンピューターが設置されると報じていた。同じ夜、モスクワ市長は493機の無人機がモスクワ地域に向かっていたと説明した。モスクワの4空港すべてで運航制限が実施され、500便を超える航空便に影響が出た。
ヤンデックスの通信量90%減は、ロシアの偽情報工作停止を意味するか
ヤンデックスのネットワークからの通信量が約90%以上減ったことから、インターネット上では当初、ロシアのサイバー活動や偽情報工作に決定的な打撃を与えたとの見方が広まった。特に拡散したのは、ドイツの右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を支持するオンライン活動が56%減ったとするグラフだった。だが、検証の結果、グラフの主張は裏付けられず、拡散に関わった複数の人物が発言を修正した。
ポーランドの軍事アナリスト、ヤロスワフ・ヴォルスキは「意図せず偽情報を広めた」と謝罪した。ドイツ緑の党の地方議員ロビン・シュリングハイダーは、情報源を確認せずにグラフを共有したとする内容に投稿を修正した。チェコ選出の欧州議会議員トマーシュ・ズデホフスキーも、情報源が示されていないことを明記すべきだったとファクトチェック担当者に認めた。
ヤンデックスの検索網では、自動アクセスの93.6%が正規の情報収集
クラウドフレア(Cloudflare)は、インターネットの通信基盤やセキュリティーを提供する企業だ。クラウドフレアが10月14日に公表した通信データの分析でも、攻撃によって自動化された不正行為やSNS上の情報操作が停止した証拠は見つからなかった。ヤンデックスの検索ネットワークでは通信の大部分が自動処理されており、ボットによるアクセス要求の93.6%は、ウェブページを検索用に収集する正規のクローラーによるものだった。


