設計からコードの承認まで、専門エージェントが製品開発を分担
開発工程の効率化を進めるソーラーウィンズでは、チョイ自身も管理業務中心の働き方から、再びコードを書く仕事に重点を移した。6カ月の間に、GitHubへのコミット(コード変更の記録)は3件から1400件超に増えた。チョイはコードを書く時にClaude Codeを使い、実装内容やプルリクエスト(コード変更の取り込み申請)を点検する時はCodexにレビューを依頼する。
サイによると、同社ではアプリケーションや機能を開発するチームが、AIエージェントを作るチームへ変わりつつある。サイが「エージェント工場」と呼ぶ取り組みでは、各開発チームがAIエージェントを導入し、製品の設計からコード生成、レビューまでを分担させる。会社の基準に沿った画面デザインを作るエージェント、コードを生成するエージェント、作成されたコードを点検して自動承認するエージェントなどを使う。
サイは「製品開発のあらゆる工程で、それぞれの作業やチームを支えるエージェントシステムを構築している」と述べた。ソフトウェア開発部門が処理できる仕事量も増えたという。「新人エンジニアのチームが新たに加わったようなもので、より多くの仕事を任せられる」とサイは説明する。
警告の見落としにAIで対処しても、安全な運用を保てるか
IT運用の現場では、システムから大量に届くアラートへの対応が問題になっている。IT運用向けAIエージェントを開発するNeuBird(ニューバード)は、2026年5月に調査結果を発表した。調査対象は、システムの信頼性を維持する技術者(SRE)、開発・運用担当者(DevOps)、IT運用担当者の1000人超だ。過去1年間に、警告の通知を抑制したり無視したりしたことと直接関係するシステム停止を経験した組織は44%だった。少なくとも時々は警告を無視していると答えた組織も83%に上った。
Aviorのようなシステムは、警告への対応が繰り返されることで担当者が疲弊する「アラート疲れ」を、自動修復で軽減しようとしている。調査会社フォレスターの副社長兼主席アナリスト、カルロス・カサノバはメール取材で「構想と戦略は非常に理にかなっている。IT部門は、問題が起きた背景を考慮せずに機器だけを管理する方法から脱却し、事業成果を重視した運用へ移るべきだ」と述べた。カサノバによれば、ソーラーウィンズがAviorの特徴として挙げるのは、目標に向かって作業を繰り返すこと、作業内容を監査できること、AIの自律行動を細かく制御して無制限に動かさないことだ。
AIの暴走を防ぐには、行動権限を最小限に抑える
カサノバは、Aviorの機能は企業に好意的に受け止められるだろうとみている。ただし、AIによる自律的な運用が社内の管理体制から外れないよう、企業は厳しく監視すると予想する。AIエージェントの導入を急ぐほど、セキュリティーや管理体制に関する新たな懸念も生じる。
カサノバは「AIの時代には、従来の単純な事後対応よりも厳密な管理が必要だ」と指摘する。暴走したAIが1時間動き続ければ、人間が1時間ミスを繰り返す場合よりも被害が「桁違いに深刻になる」と指摘した。エージェントに与える行動権限を必要最小限に抑え、リスクを継続的に管理し、安全性が確保された目的の範囲で動作させる必要がある。


