借金頼みで進む米国のAIインフラ整備、今後3年で破綻が相次ぐか
動いている金額は桁外れだ。米国のAI・データセンター建設にかかる費用の推計は、2030年までの約2兆8000億ドル(約442兆4000億円)から、2032年までの10兆ドル(約1580兆円)超まで幅がある。少なくとも1兆3000億ドル(約205兆4000億円)は、すでに借り入れでまかなわれている。多くの企業にとって悪い結末になると予想する声も出始めた。
「今後3年のうちに、倒産が相次ぐでしょう」。法律事務所ヘインズ・ブーンでデータセンター・デジタルインフラ部門の責任者を務めるジェフリー・モードラーは、10月にニューヨーク大学(NYU)で開かれたデータセンターとAIインフラのフォーラムで、こう語った。「現在起きていることの多くは、将来の売上高の見通しを前提にしています。ネオクラウドのビジネスモデルには、大きな疑問符が付いています。これはWeWorkの再来です」。
長く借りて短く貸したWeWork、GPUの賃貸事業にも同じリスク
よく知られているように、WeWorkはオフィスを長期契約で借り、そのスペースをスタートアップなどに短期で貸し出していた。この期間のずれが、需要が落ち込んだときに命取りになった。ファン・ニーウェルブルフは「ネオクラウドのビジネスモデルは、まさにそれです」と言う。「GPUを長期で借り、それを、今すぐ計算能力を必要とする相手に時間単位で貸し出す。リスクはまったく同じです」。
利下げ予想は利上げ観測へ一転、新興企業の社債をあえて買う理由はあるか
心配なのは、成長の鈍化だけではない。金利の上昇も心配の種である。金融サービス会社アドバイザーズ・アセット・マネジメントのCEOで、最高投資責任者も務めるクリフ・コルソは、こう話す。「市場は今年、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに動くと見込んで始まりましたが、その見方はあっという間に利上げへと変わりました」「体力の弱い会社、つまりキャッシュフローで黒字を出せず、先行きも危ぶまれる会社にとっては、ビジネスモデルそのものが厳しく試されることになります」。
債券の利回りが20年あまりぶりの高水準まで上がった今、誕生して間もないAI企業が発行するジャンク債は、投資家にとって、もう以前ほど魅力的ではない。ファミリーオフィス(富裕な一族の資産を運用する組織)のCV Advisorsで投資担当ディレクターを務めるヘイリー・ゴードンは、こう付け加える。「投資適格債で、税金の扱いを考えに入れれば9%に相当する利回りが得られるのに、なぜわざわざもっと大きなリスクを取って、コアウィーブで15%を狙うのでしょうか」。
OpenAIとアンソロピックは数百兆円を稼げるか、売上高の伸びに陰り
結局どうなるかは、OpenAIとAnthropic、そしてハイパースケーラーが、ネオクラウドやデータセンター事業者を支えるだけの売上高、つまり見込まれている数兆ドル(数百兆円)規模の売上高を、実際に上げられるかどうかに大きくかかっている。
ところが、OpenAIとAnthropicの2社が株式上場の準備を進めるなか、不安は募る一方だ。英経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が10月に報じたところでは、OpenAIの年換算売上高(ある時点の売上高のペースが1年続いたとして計算した値)は500億ドル(約7兆9000億円)で、それまで考えられていたより200億ドル(約3兆1600億円)少なかった。
米国時間10月14日に投資家に示されたAnthropicの数字は、それよりは良い内容だった。ただ、第3四半期に売上高の伸びが鈍ったことも示していた。しかも、AI大手の2社は、どちらも黒字化にはまだほど遠い。
投資適格級を目指すも、2社とも投資不適格級と評価
両社の投資銀行は、上場後に投資適格の格付けを得られるよう、格付け会社に働きかけていると報じられている。ところが、信用格付けを手がけるスタートアップのAIR Platformsは最近、OpenAIの債務をジャンク級のBB+とし、Anthropicを投資適格ぎりぎりのBBBと格付けした。米格付け会社のKBRAも6月に、Anthropicを、投資適格より1段階低いBB+と格付けしたと報じられている。
ガートナー試算、約553兆円を超す設備投資は減損を免れるか
調査会社のガートナーが米国時間10月14日に公表した報告によると、AIデータセンターが設備投資と資金調達のコストをまかない、さらに12%の投下資本利益率(ROIC)を確保するには、2030年までに累計8兆5000億ドル(約1343兆円)の売上高が必要になる。12%は、ガートナーのアナリストが、投資資金のハードルレート(投資するかどうかを決めるときに最低限求める収益率)とみなしている水準である。
ところが同社の予測では、実際の売上高は3兆6000億ドル(約568兆8000億円)にとどまる。そのため、2030年末までに、3兆5000億ドル(約553兆円)を超えるAIインフラ投資が減損を迫られるおそれがあり、ネオクラウドの8割超が、破綻するか買収されることになるという。


