エヌビディアのGPUを使った計算能力を、OpenAIなどの顧客に貸し出しているAIクラウド企業のコアウィーブ(CoreWeave)は、米国時間10月12日の週に、株価が25%下落した。エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが、公の場で同社を支持したにもかかわらずである。急落の根本にあるのは、重い負債と資金調達コストの上昇だ。これはすでに大きな問題だが、この先さらに大きくなりかねない。
コアウィーブの社債のうち約40億ドル(約6320億円)分は、現在額面1ドルあたり80セントを割り込み、経営難に陥った企業の債券並みの価格(ディストレス水準)で取引されている。
一方、コアウィーブが借りている複数のデータセンターの建設資金として発行された債券も、大きく値下がりした。こうした債券の平均利回りは、米国時間10月16日までの1週間で11%に上がった。ジャンク債(格付けが投資適格に届かない、その分だけ利回りの高い債券)のうち、最も格付けが高いのは、投資適格の最下位であるBBB-(トリプルBマイナス)のすぐ下のBB+(ダブルBプラス)である。11%という利回りは、そのBB+の債券に投資家が求める約7%を大きく上回る。
テック大手の後ろ盾で低利資金を確保、2026年は高コストな調達に傾いた
コアウィーブのような、いわゆるネオクラウド(AI向けの計算能力を貸し出す新興のクラウド事業者)の多くは、自前の財務基盤が強くない。そのため、これまでは、エヌビディアのような大手テック企業による支払いの保証(バックストップ)や、顧客として利用する約束を頼りに、GPUクラスター(大量のGPUをつないだ計算設備)への融資を貸し手に納得させてきた。
同じころ、データセンターの開発会社は、投資適格の格付けを持つハイパースケーラー、つまりアマゾンやマイクロソフトのように巨大なデータセンター網を運営する大手クラウド事業者との長期のリース契約をよりどころに、施設の建設資金を低い金利で借りていた。
強気の株式市場と、計算能力への旺盛な需要に支えられ、こうした企業は2025年に、データセンター関連の債券で360億ドル(約5兆6880億円)を調達した。英銀バークレイズによると、そのうちジャンク債は86億ドル(約1兆3590億円)にとどまり、残りは投資適格債だった。
データセンター債の半分近くがジャンク債、前年比4倍超に急増
ところが現在では、こうした企業が、金利負担の重い高利回りの借金に頼る場面が増えている。2026年に入ってから発行されたデータセンター関連の債券は800億ドル(約12兆6400億円)で、そのうちの370億ドル(約5兆8460億円)、つまり全体の半分近くが、BBB格を下回るジャンク級の格付けだ。額は2025年の4倍を超える。
Forbesが金融データ会社ファクトセットのデータを分析したところ、こうしたジャンク債は、16件のデータセンター事業の資金になっている。その借り手や後ろ盾には、アマゾン、メタ、エヌビディア、オラクル、米トレーディング会社のジェーン・ストリートといった、AIブームをけん引する大手企業のほか、コアウィーブや、グーグルが支援するFluidstack(フルイドスタック)のような急成長中のネオクラウドが名を連ねる。
債券が売られ利回りは10%に迫り、開発会社3社は株式公開を見送った
投資家は、こうしたジャンク債も敬遠し始めている。米国時間10月16日までの1週間で、価格が下がり、平均利回りは10%近くまで上がった。
コロンビア大学ビジネススクールで不動産ファイナンスを専門とする経済学者、ステイン・ファン・ニーウェルブルフは「債券の投資家は、うまくいったときの上振れの恩恵を受けません。気にするのは下振れだけです」と言う。「利回りには、下振れのシナリオになる確率が高まったことが表れ始めています」。
株式の投資家も神経をとがらせている。米国時間10月16日までの1カ月の間に、データセンター開発のFirmus(ファーマス)、SBエナジー、AirTrunk(エアトランク)が、IPO(新規株式公開)を延期したり、中止したりした。3社とも、エヌビディアやソフトバンクグループ、米投資会社ブラックストーンといった大手の投資家が後ろ盾につき、重い負債を抱えている。



