2245部隊もCIAとの協力関係から生まれた組織であり、ロシアに対する情報活動を実施するために編成された。CIAは2016年ごろから同部隊の訓練を始め、組織づくりで中心的な役割を担った。のちにHURの総局長に抜擢され、現在は大統領府長官を務めるキリロ・ブダノウも、この部隊に所属していた。「CIAは2245部隊を訓練し、装備を提供するとともに、米国の秘密情報機関が持つような専門技術や作戦規律を身につけられるよう支援しました」とデイビスは説明する。
2245部隊はロシアの支配地域で、破壊工作や偵察、情報収集、装備の鹵獲といった任務を遂行した。デイビスによれば、2014年7月に発生したマレーシア航空MH17便の撃墜をめぐり、ロシアの関与を示す証拠の入手にも取り組んだという。
元HURのオスタプチュークは「シャポバルは、ドンバスでのロシアの軍事プレゼンスを示す証拠の収集に直接関わっていました。ロシア製の最新兵器が使用された形跡や、ロシアの現役の要員や情報部隊の存在をうかがわせる動向などです」と話す。
バロリクス社のデイビスによると、コンドラテュークは2245部隊に、より大胆な任務も担わせたい考えだった。そのひとつが、ロシア占領下のクリミア半島北部にあるヘリコプター基地を破壊する作戦だった。この基地は、ウクライナ南部に対する攻撃を支援するために使用されるおそれがあった。
「ウクライナのチームがロシアの特殊部隊と遭遇したことで、作戦は失敗に終わりました」とデイビスは語る。「銃撃戦になり、ロシア側に死傷者が出ました。そのなかには、ロシアの高位の将官の息子も含まれていたと伝えられています」
デイビスによれば、ロシアはこの作戦に関与したウクライナ人への報復を企図した。そして「2017年、当時大佐だったマクシム・シャポバルが、米国側のカウンターパートとの会合に向かう途中、キーウで自動車爆弾によって暗殺されました」(デイビス)
シャポバルが構築に関わった協力関係は、彼の死後も続いた。米国の軍事援助が削減されるなかでも、CIAはウクライナで活動を続けている。米紙ニューヨーク・タイムズは2025年12月、第2次ドナルド・トランプ政権下で、CIAはウクライナでのプログラム向け資金を増額したと報じている。


