仇討ちの仲間が「柿の木」に集まったら
最後に、子ガニが復讐のために集めた仲間を思い出してみます。栗、蜂、牛の糞、臼。囲炉裏で弾けるもの、サルを刺すもの、転ばせるもの、サルの上から落ちてくるもの。持ち場の異なる面々が、それぞれの役目をきっちり果たしています。
この顔ぶれが、仇討ちの代わりに柿の木に集まっていたらどうなっていたか。春には蜂が花を巡って受粉を助け、牛の糞は土を肥やす。木が実をつければ、サルが登って実をもぎ取り、子ガニたちがそれを分ける。臼では採れた果実を使った餅をつき、そこに栗餡を包む。合戦にはならず、小さな収穫祭になっていたことでしょう。サルの最初の口上も、そこでようやく本当になります。分け合える木には、毎年実がなる。
この秋、柿をたくさんもらったら、ひとつ誰かに分けてみてください。サルの汚名も、それで少しはすすげるはずです。
この連載では、広く読み継がれてきたポピュラーな物語を、独自の観点で解釈しています。科学的な裏付けをベースにしていますが、厳密な調査や研究に基づく論文とは異なり、あくまで架空の読み物としてお楽しみください。


