「クラセアスール」は1997年、メキシコ・ハリスコ州グアダラハラで創業。メキシコには現在、200を超えるテキーラ生産者が存在し、3000を超えるブランドがあるが、「クラセアスール」は上質なブルーアガベのピニャ(球茎部)を蒸し焼きにして甘みをひきだし、発酵させた原酒を丁寧に蒸溜。樽の種類や熟成期間の違いを重ね、さらにブレンディングによって複雑で奥行きのある味わいをつくり上げている。
「テキーラの製造工程は複雑で、熟成タイプであれば樽のなかで長い時間を重ねるものも。一杯のテキーラの味わいはどこかひとつの工程から生まれるものではなく、それぞれの選択と時間の積み重ねによってつくられます」(ヴィリディアナ)
つまり「クラセアスール」にとって品質とは、原料や熟成期間といったひとつの要素だけで語れるものではない。アガベの栽培から蒸し焼き、発酵、蒸溜、熟成、ブレンディングまで……すべての工程が一杯の味わいへとつながっている。そして、そのものづくりへの姿勢は、テキーラという液体だけにとどまらない。
デキャンタが語るメキシコの文化
「クラセアスール」と聞いて、まずあの印象的なボトルを思い浮かべる人も多いだろう。ひと目でそれとわかる陶製のデキャンタにもまた、メキシコに受け継がれてきた手仕事や美意識が込められてきた。
「一本ずつ職人の手によってつくられ、絵付けされています。手仕事ゆえに、わずかな個体差も生まれますが、それもまた人の手から生まれた証。アガベを育て、蒸溜し、樽のなかで時間を重ねることでテキーラがつくられるように、その外側を包むデキャンタにも、産地に住まう多くの人の手と時間が費やされています」とソフィア。
こうしたメキシコの手仕事を未来へつなぐことも、「クラセアスール」のものづくりの一部だ。同社では非営利団体「Fundación Causa Azul」を設立し、職人のコミュニティを支援。雇用を生み出すことで伝統的な技術や文化を守りながら、次世代へとつないでいる。
「自然から受け取ったものは自然へ、文化から受け継いだものは未来へ返していく。そんな循環もまた、私たちがものづくりを通して大切にしている考え方のひとつです」(ヴィリディアナ)
日本限定650本という贅沢
では、そんなメキシコの美意識が遠く離れた日本の文化と出会ったらどうなるのか。その答えが、今回650本限定で発売された「The Dance of Cultures 鶴の舞」だ。白い陶器のデキャンタを舞うのは、日本を象徴する丹頂鶴。書道や水墨画から着想を得た鶴が手描きで表現されている。
「テーマは“飛翔”です。鶴が空を舞う姿にエレガンスや自然への敬意、そして手仕事への敬意を込めました」(ソフィア)


