【重要】復旧のご報告セキュリティ対策に伴うメンテナンスおよび会員機能の一時停止について

新規事業

2026.10.23 16:15

野菜のないパラオで水耕栽培を事業化。官民連携で挑む「産業革命」

パラオで水耕栽培の事業化に挑戦するHydroCrops社の高崎裕喜

長野の水耕栽培技術をパラオに

現在、テストで最も成功しているのがHydroCrops社(沖縄県久米島)の海洋深層水の冷熱を視野に入れた水耕栽培だ。

advertisement

同社は首都マルキョクに5×8mの小規模ビニールハウスを構え、カラシ水菜やルッコラといった葉物野菜を日本式水耕栽培で育てている。すでに10回以上の収穫を実現し、スランゲル・ウィップス・ジュニア大統領も視察に訪れた。同社は昨年10月から本格的に実証実験を開始し、2028年にはパラオでの事業化を目指している。

首都マルキョクにあるHydroCrops社のビニールハウス
首都マルキョクにあるHydroCrops社のビニールハウス

創業者の高崎裕喜は、電通でクリエイティブプロデューサーとして活躍した後2017年にアプリ開発会社を起業。コロナ禍を機に投資がストップしたことから「目まぐるしく変化するIT業界と違い、“食”は本質的には変わらず未来に残せるもの」と考え、農業に転向した。

長野県の農家に誘われ、廃業寸前だった水耕栽培農家の技術移転を受託。その仲間と農業法人を共同創業。高崎も種まきから収穫まで現場で修業を積んだ。さらに2025年にはHydroCropsを立ち上げ、すでにOTECが進んでいた久米島に本社を置いた。

advertisement

「2026年4月には島嶼地域の社会課題解決を目的に、NTT、早稲田大学、久米島町が包括連携協定を結びました。OTECを軸に水産業や農業、観光、データセンターといった産業振興を試みる共同研究プロジェクトで、そこに我々も参加しています」

現在は久米島と平行して、同様の課題を抱えるパラオにも日本の農業ノウハウやプラットフォームを展開すべく挑んでいる。パラオでは自然エネルギー(OTEC)を二次利用した水耕栽培で、食料輸入依存と栄養課題の解決を目指す。

農業がない国で新市場を開拓

パラオはそもそも農業が産業として成立してこなかった。理由には、耕作に適した土壌の不足と、人口の少なさから需要も労働力も不足していることが挙げられる。そのため水耕栽培が成功すれば、新規市場の創出や食文化の変化にもつながる。

「パラオはレストランに行っても基本的に料理が茶色っぽくて、緑のものがない。しいて言えば、キュウリや空芯菜が少しあるくらいです。スーパーに野菜はありますが、輸入なので新鮮なものがなく、価格も高くて人気がない」(高崎)

パラオにあるスーパーの野菜売り場
パラオにあるスーパーの野菜売り場。収穫からの日数が経っていそうな野菜が多い
次ページ > 生活習慣病が死因の約7割を占める深刻な事態

文・写真=田中友梨

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事