NISAよりアトツギ。変態たちの、サードプレイス
━━山野さんの作られているアトツギのコミュニティは、まさに「出島」ですよね。著書の中でも、「アトツギは孤独」ということを書かれていました。そのアトツギの横のつながりとしての出島をつくられているのかなと。
山野:そうですね、彼らにとっての「サードプレイス」になればと思っています。
━━職場でも、家でもない、第三の居場所ということですね。
山野:地域企業は地域と運命共同体ということもあって、めちゃくちゃ「しがらんで」いるんです。連綿と続く関係性があるから、新しいことをやろうとすると、地域や業界から反発を受けるんじゃないかと恐れて、本音が言えない。
そんな時、地域を超えたアトツギの集まりのなかで本音を吐露すると、「自分と同じように、しがらみの中で戦っている仲間が他にもいる」と確認できる。それが勇気になり、自分もやってみようと行動を起こせるんです。
━━金融機関や行政の担当者といった、アトツギを応援する側の人たちにとっても、山野さんの取り組みはサードプレイスになっているように思います。
山野:そうなんです。アトツギ支援って、銀行の中では「何それおいしいの?」みたいな扱いなんですよ。「そんな金にならないことやってないで、NISAを売ってこい」と言われる中で、100人に1人か2人「アトツギを支援しないともうこの町はダメだ」と思っている「変態的」な熱い担当者がいるんです。
━━「NISAよりアトツギ」という、はみ出しものですね。
山野:彼らが、会社の看板や評価を少し横に置いて、ガリガリにアトツギをサポートする。それが結果的に国の白書に取り上げられたりして、後から銀行側が「えっ、うちの行員がそんなことやってたの!?」と驚く。金融機関にも長期思考が必要です。短期合理よりも長期合理で地域の企業に関わることが、結果的に地域の金融機関の存在価値にもつながっていくと思っています。
━━ひとりが信じてやったことがフォロワーを生み、結果的に組織が変わっていく。枠を超えていくことを恐れない。そういう意味では、アトツギのサポーターも、本業の評価軸から離れて信念を貫く、出島的な存在だと思います。


