ローカルでアトツギに投資するのは、合理的です
━━山野さんが活動されているのは、東京などの大都市よりも、圧倒的にローカルエリアが多いですよね?
山野:完全にローカルですね。東京では何もやっていません。東京はあまり困っていないからです。アトツギは、地方に残された最大のポテンシャルだと思っています。
━━たしかに。 僕はいま長崎に住んでいますが共感します。長崎でも行政がスタートアップ支援をずっとやっていますが、そもそもローカルエリアは資金も人も集まりづらいですし、スタートアップが育ちづらい環境ですよね。
山野:そうなんです。それにスタートアップが資金調達に成功したら、結局みんな東京に行っちゃうんですよね。
━━「じゃあ何のために地元の税金を使ってスタートアップを支援してたの?」となりかねない。
山野:もちろん地方でスタートアップが生まれたり育ったりする可能性はゼロじゃないですが、アトツギのほうが有利な面が大きい。一定の設備や顧客といったリソースがすでにあるし、存続にコミットする経営者の卵がそこにいるわけですから。本社を東京に簡単に移せないアトツギの彼らを応援するほうが、絶対に地方の投資対効果は高いし、合理的なんですよ。
━━本当にその通りですね。「他県がやっているから、うちもスタートアップ支援やらなきゃ」とVCを紹介するだけで終わっているケースより、アトツギに張るべきだと。
山野:とはいえ、簡単なことじゃありません。引き継いだものを食い潰して毎晩飲み歩いてるような跡継ぎも、一定数いますから。
━━むしろそちらのほうが大半かもしれません。
山野:スタートアップの起業家は、強烈に実現したいビジョンがあって自らピッチをしますが、アトツギの場合は「たまたまクリーニング屋に生まれた」「たまたま金属加工の会社に生まれた」というところからのスタートです。最初はリーダーシップなんてない、ただの未熟な若者であることが多い。
だから、行政や商工会、地方銀行など応援するサポーターの人たちも、「時間をかけて、地域を背負って立つ経営者を育てていくんだ」という腰の据え方が必要になってくるんです。


