すべての地域に1000人のアトツギを
━━ここで改めて、山野さんが代表を務めておられる「ベンチャー型事業承継」のアトツギ支援について、簡単に教えていただけますか。
山野:私たちの団体は、中小企業の後継経営者、および承継予定者の方々が、ベンチャーとして挑戦を続けられる環境をつくろうということで立ち上がった団体です。アクセラレーションプログラムやピッチイベント、金融機関がアトツギ支援をできるような仕組みなど、アトツギが成長を諦めないでいいような、環境整備をやっている団体です。
━━様々な角度からアトツギを支援されていますよね。その中でも「ヨンナナ1000(ヨンナナサウザンド)」という取り組みが気になっているのですが、どういうものか教えてもらえますか?
山野:「地域ごとに1000人のアトツギベンチャーを作ろう」というプロジェクトです。地域のパートナーを開拓して、現在、岡山や静岡が立ち上がり、山形、鹿児島、佐賀など全国各地で準備が進んでいます。
━━1000人! 中小企業政策の界隈では「100億企業を目指す」といったスケールについての議論も耳にするようになりましたが、そういった売り上げ規模だけを目標にしていないところがユニークですね。
山野:私たちは規模を定めていないんです。1社のユニコーンもいいけれど、成長を諦めない、つまり、存続を志す会社が1000社あれば、きっと地域は豊かになる。なぜなら、激動の時代に存続しようとすると、必然的に事業や組織を時代に合わせてアップデートすることになるからです。そして地域が衰退していては自社の存続も危ぶまれるから、必然的に地域のための取組みにリソースも割くことになる。これから20年、30年と地域でやっていく覚悟を持って、果敢に挑戦していく未来の経営者たちが、日本各地にたくさんいる状態を作りたいんです。
━━その未来はワクワクしますね。一方で、「日本の中小企業は多すぎるから集約したほうがいい」という議論もありますよね。
山野:あると思います。それを全否定はしません。でも「それが正解だ」ということになってしまった時に、失うもののほうが大きいんじゃないでしょうか。
━━失うものというと。
山野:日本って、多様性が強みだと思うんです。地域ごとにこれほどそれぞれの特徴があるのはすごいことですよね。言葉が違い、食べ物が違い、伝統が違う。アメリカのスーパーに行くと、寡占化が進んでいてどこに行っても同じメーカーの商品しか並んでいない。日本のスーパーが大手のプライベート商品だけになってしまったら、それって幸せなのかと思いますよね。


