AIは歴史上のほぼあらゆる技術よりも速いスピードで、働き方のルールを変えてきた。この広範かつ急激な変化を背景に、多くの企業やリーダーが「従業員は何を学ぶべきか」と問いかけている。学習は不可欠であり、それを育むことはAI時代のあらゆるリーダーのマインドセットになければならない。だが、リーダーが自問すべきより本質的な問いがある。それは「従業員はどのような存在になるべきか」だ。AI時代のリーダーの役割は、単にAIの導入を推進することではない。AIによって人間の価値がより高まる環境を創り出すことなのだ。
AI時代に求められるのは、真の人間的リーダーシップ
AI時代に最も大きな影響力を発揮するリーダーは、単にAIの使い手にとどまらない。不確実性の中で人々を導き、絶え間ない変化の中で確信を与え、人間の強みと人工知能のスピードおよび能力を融合させられるようチームを支援する。AIによってリーダーシップの重要性が薄れるわけではない。むしろ、より人間的なものが求められるようになっているのだ。真に人間を第一に考える(ヒューマンファーストな)リーダーとなるには、思考、行動、対話のあり方において10の転換が求められる。
1. パーパスをもってリードする
AIにできることは多いが、パーパス(存在意義)を生み出すことはできない。それはリーダーの役割だ。共有されたパーパスはチームの結束を生み、エンゲージメントを高め、人々がより大きな目標に向かって突き進む力を与える。従業員は、組織がどこを目指し、なぜそれが重要で、そして何よりも自分たちがどこに位置づけられているかを理解したとき、最大のパフォーマンスを発揮できる。こうした明確さと意味づけは、絶え間ない変化の時期にこそ、より重要になる。人々はテクノロジーに従うのではない。信頼する人々、そして共感できるパーパスに従うのだ。
2. AIへの恐怖を好奇心に置き換える
AIの急速な浸透、ハイブリッドワーク環境、そして世界的な経済の不確実性により、従業員は不安を抱えている。雇用の安定、変化する期待、新しいツールの習得、そして時代遅れになることへの懸念だ。すぐれたリーダーは不確実性を当たり前のものとして受け入れ、実験を促す。それによって好奇心が競争上の優位性となる。恐怖は人をすくませてしまう。従業員が恐怖から好奇心へと意識を切り替えたとき、学び、試し、適応しようという意欲が生まれる。



