不完全なデータ
ビジネス資源としてのデータなどについて、テシマレの最終的な考えの一部を見てみよう。
「データはAI時代の石油だといえる」とテシマレは語った。「シスコではデータを整理する必要がある。多くの組織の人事部門も同じことをしていると思う。当社はデータレイクハウスを構築した。データレイクハウスとは、データレイクとデータウェアハウス(DWH)という2つの異なるシステムの長所を組み合わせたデータ管理アーキテクチャのことだ。私たちは、人材に関するあらゆるインテリジェンス、つまり『人材データ』を1つのレイクハウスに集約し、エージェントがその単一のレイクハウスから情報を引き出せるようにした。これによって今では人材に関するすべてのインテリジェンスに安全かつ簡単にアクセスでき、常時利用可能な環境が整っている」
この仮想レイクハウスは常にクリーンな状態を保つ必要があるとテシマレは指摘した。
「エージェントを導入し始めても、レイクハウスやデータを実際に整理しなければ、それは実際には存在しないも同然だ」とテシマレは語った。「あるいは、ツールやテクノロジーを追加したとしても、そこで業務を行う役割やワークフローを実際に変えなければ意味がない。今、ワークフローにエージェントを導入して、人間とエージェントが協働することを期待している。オペレーティングモデルについて考え、『ワークフローをどのように捉え直すべきか』と自問する必要がある」
インタビューではこれ以外にも多くが語られた。ぜひインタビューの動画を見てほしい。テシマレはリスキリングを促して話を締めくくったが、実際にはそれ以上の重要なメッセージも伝えていた。
「重点を置くべきは従業員のリスキリングだ。そして、従業員が将来担う役割を見つけられるよう学習経路を構築し、その役割に必要なスキルを身につける道筋を整え、その道を進めるようできる限りの支援をすることだ。ただ、率直に言えばそれが100%うまくいくわけではない」
テシマレはこう説明した。「実際、リスキリングを望まない人もいることを認識している。将来の役割を気に入らない人もいる。そのため、選択肢を用意しておく必要がある。この件に関して、労働力のアジリティとともに、私たちはリスキリングだけではなく異動についても話している。なぜなら、その人が現在の役割には適していなくても、組織内の別の役割にはもっと適している可能性があるからだ。そして結局のところ、こうした全てのケースにおいて、役割が長期的に存在しなくなる可能性も十分にある。そのため、リスキリングでも異動でもない場合に、どのような別の道を歩むかを考えなければならない。つまり、柔軟なバランスをとることが重要だ」
続報を楽しみにしていてほしい。


