働き方

2026.10.18 13:00

世界最大級の女性ITイベントが直前に中止──AI人材の採用・育成を誰が担う

グレース・ホッパー(1906~1992年)。Photo by Cynthia Johnson/Getty Images

700社超が参加する大会は、女性技術者と採用企業を結びつけてきた

AnitaB.orgによると、GHCには、米国の売上高上位500社を示す「フォーチュン500」に入る企業から新興企業まで、毎年700超の企業・団体が参加する。2026年大会も、専門技術とAIを使いこなす力を身につけ、採用企業と会い、同じ分野で働く人や指導的立場の人と交流できる場として案内されていた。

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米国のコンピューター・数学関連職で女性の割合は27.5%

コンピューターや数学に関わる専門職で女性が少ない現状を考えると、GHCが提供してきた機会の重要性は大きい。米労働統計局のデータに基づく集計によると、2025年に米国のコンピューター・数学関連職で女性が占める割合は27.5%だった。米国の就業者全体では47.1%を占めるが、コンピューター・情報システム関連の管理職では25.1%にとどまる。対照的に、女性は商品の購入判断の85%を左右するともされる。

AI研究・開発の男女比は2010年以降ほとんど改善していない

女性が少ない状況はAIの研究・開発にも共通する。スタンフォード大学人間中心AI研究所がまとめた2026年版報告書「AI Index」によると、調査対象のどの国でもAI研究者や開発者の男女比は同数に達していない。2010~2025年の間、AI人材の男女比に目立った改善が見られなかったことも報告している。

予定されていたAI研修や指導、人脈づくりは代替できるか

大会が1回中止されたからといって、技術やAIの分野で誰が成功するかが決まるわけではない。ただし、GHCは参加者、採用企業、学習機会を大規模に結びつけるために設けられた。代わりとなる機会がなければ、参加者は予定していた人脈づくりや指導を受ける場、AIについて学ぶ機会の一部を失う可能性がある。

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AIは、企業が人材に求める技能や、企業が開発するシステムを変えている。女性がAIの開発や組織の指導的立場に加わることは、新しい技術に誰のニーズが反映され、誰の専門知識が生かされるかに影響する。

学習や採用担当者との面会、指導者探しの機会を1回失っただけでは、長期的な悪影響が生じると証明されたことにはならない。それでも主催者と協賛企業には、参加者が期待していた学習や交流の機会をどのように維持するのかという問いが残る。

協賛企業は年間を通じて女性AI人材との関係を築き続けられるか

企業は技術やAIの分野で優れた人材を採用したいという。しかし、求人情報を掲載するだけでは十分ではない。有能な人材と関係を築き、入社後のキャリアを思い描けるようにし、仕事の機会につながる人脈へ参加できる環境を整える必要がある。

GHCの中止は協賛企業の姿勢を試すことになる。大会の協賛企業には、キャピタル・ワン、CVSヘルス、ディズニー、ゴールドマン・サックス、グーグル、インテュイット、モルガン・スタンレーが含まれる。各社は女性技術者と出会い、支援する取り組みへの投資を続けるのか。それとも2026年大会の中止とともに取り組みも止まるのか。AIの開発チームをつくる企業にとって、軽視できない問題だ。スタンフォード大学の2026年版「AI Index」は、AI研究者・開発者の女性が少なく、男女同数に達した国がないことを示している。

単独の大会だけでAI人材の男女差を解消することはできず、大会の中止だけで将来のAI分野のリーダーが決まるわけでもない。それでも優れた人材を採用したい企業には、年間を通じて採用や成長の機会を示し、実際に利用できるようにすることが求められる。GHCで生まれるはずだった出会いや学びの機会が他の方法で設けられなければ、AI業界は貴重な人材を見逃しかねない。

(forbes.com 原文)

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